内科医キューピーのつぶやき

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神経伝導検査

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キューピーです。

 

神経伝導検査(NCS)は、主に末梢神経障害の評価で行われる検査です。

 

重要な検査であるものの、やはり敷居が高い印象があります。

 

今回は、基本的な事項をできるだけ簡潔にまとめてみました。

 

参考文献もどれも分かりやすく、おすすめです。

 

※この記事の内容が原因で生じたいかなる不利益にも責任は負いかねます。

 

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目次

 

 

【参考文献】

臨床神経生理学 46巻4号:168-174

臨床神経生理学 44巻4号:203-211

きれいにとれるシリーズ 誘発電位編

 

【基本事項】

・NCS:Nerve Conduction Studyです。

・神経伝導検査(NCS)には大きく運動神経伝導検査感覚神経伝導検査があります。

・それらに加えて、F波などの後期反応があります。

・基本的には末梢神経の異常を調べるための検査になります。

※特に感覚神経は、後根神経節よりも末梢部での異常を調べることになります。

・禁忌等はありませんが心臓ペースメーカーやカテーテル使用患者では注意が必要です。

→特にカテーテル挿入部での刺激は避けるようにします。

 

【正常範囲】

 

遠位潜時

振幅(M)

振幅(S)

MCV

SCV

正中神経

<4ms

>4-5mV

>10-20μV

51-65m/s

>50m/s

尺骨神経

<3.5ms

>4-5mV

>10-20μV

50-69m/s

>50m/s

橈骨神経

左右差比較

>2mV

左右差比較

約50m/s

>50m/s

脛骨神経

<6ms

>5mV

-

41-55m/s

-

腓骨神経

<6ms

>1-2mV

-

42-53m/s

-

腓腹神経

-

-

>5μV

-

>40m/s

正常範囲の一例(検査環境で異なり注意が必要)

・神経伝導検査の正常範囲は年齢や温度等でバラつき定まった値を提示しにくい印象があります。

・検査室環境等にも影響され”施設ごとの設定が望ましい”等の記載があります。

・上記の値は大雑把な一例で、詳細は成書や各施設の検査科等でご確認ください。

温度:組織温1℃低下で約2m/秒の速度低下をきたし、振幅も増加します。

→皮膚温を記録し、上肢≧32℃、下肢≧30℃で評価を行うようにします。

年齢:加齢に伴い振幅や速度の低下を認める傾向があります。

 

【CMAP】

⓪基本事項

f:id:p_kun:20220103201511j:plain

CMAPの一例(自作図)

・CMAP:Compound Muscle Action Potential、複合筋活動電位です。

・運動神経伝導検査(MCS:Motor nerve Conduction Studies)で確認します。

・運動神経の電気刺激により各々の神経線維に活動電位が発生します。

神経筋接合部を介して、対応する筋線維で活動電位が発生し、その総和がCMAPです。

 

①振幅/面積

振幅amplitude:基線と陰性ピーク間で測定します。

面積area:陰性ピークと基線で囲まれた面積を測定します。

・いずれも刺激による神経の興奮で引き起こされる筋活動電位の総和を反映します。

 

②持続時間

持続時間duration:陰性ピークの立ち上がりから基線に戻るまでの時間です。

※終点を陰性ピーク、陽性ピーク、陽性波形が基線に戻る時点とすることもあります。

神経の直径のバラつき(=各線維の伝導速度の差)を反映します。

生理的時間的分散:遠位部より近位部刺激の方がCMAP持続時間が長くなることです。

→近位部刺激の方が伝導距離が長く、伝導速度の速い線維と遅い線維の差が大きくなるためです。

病的時間的分散脱髄病変により時間的分散が更に大きくなることです。

 

③潜時

潜時latency:刺激から陰性ピークの立ち上がりまでの時間です。

最も伝導速度の速い神経が支配する筋に活動電位を発生させるまでの時間に相当します。

・具体的には神経の伝導時間神経筋接合部の伝達時間筋線維の伝播時間が含まれます。

遠位刺激の潜時(DL:Distal Latency)近位刺激の潜時(PL:Proximal Latency)があります。

 

④運動神経伝導速度(MCV)

・MCV:Motor nerve Conduction Velocityです。

・2点の電気刺激による潜時の差と2点間の距離から算出します。

MCV=距離/(PL-DL)で求めます。潜時差なので最も速い線維の速度が反映されます。

 

【SNAP】

⓪基本事項

f:id:p_kun:20220103202727j:plain

SNAPの一例(自作図)

・SNAP:Sensory Nerve Action Potential、感覚神経活動電位です。

・感覚神経伝導検査(SCS:Sensory nerve Conduction Studies)で確認します。

CMAPは筋の活動電位ですが、SNAPは神経の活動電位になります。

※感覚神経は筋肉を支配しているわけではないためです。

・順行性と逆行性の2つの検査法があります。

順行性:末梢で神経が感覚/運動線維に分かれた後に感覚神経を選択的に刺激し、近位部の混合神経でSNAPを記録します。

メリット:運動神経を刺激しないため、筋活動電位のアーチファクトが入りません。

デメリット:近位部は神経が深く、記録電極と距離ができるため、SNAPが小さくなります。

逆行性:近位部で混合神経を刺激し、末梢で分枝した感覚神経でSNAPを記録します。

メリット:記録部位の神経は浅いため、SNAP波形が安定します。

デメリット:運動神経も刺激するためCMAPが発生し、SNAPに影響し得ます。

・SNAP波形はCMAPと異なり、最初に小さな陽性への振れがある三相波になります。

※神経が深く、記録電極と距離がある場合は最初の振れは認めません。

 

①感覚神経伝導速度(SCV)

・SCV:Sensory nerve Conduction Velocityです。

SCV=距離/DLで求めます。DLは刺激から陰性ピークの立ち上がりまでの潜時です。

※DL:(sensory) Distal Latency、(感覚)遠位潜時です。

・MCVのように神経筋接合部の伝達時間、筋線維の伝播時間を考慮する必要がありません。

→わざわざ2点を刺激して、その潜時の差を計算に用いる必要がないということです。

 

②振幅

振幅amplitude:陰性ピークの立ち上がりと陰性ピーク間で測定します。

・CMAPの振幅と異なり、距離に応じて次第に低下していきます。

→これを”距離依存性位相相殺length-dependent phase cancellation”と呼びます。

→SNAPの振幅を正常値と比較する際には、距離を一定にする必要があります。

→また、SNAPで伝導ブロック(後述)の評価を行うことは難しいとされます。

 

●位相相殺phase cancellation

・上述のようにSNAPで位相相殺が生じるという事実は、結果の解釈の上で重要です。

機序

-より近位部での刺激では、伝導速度の速い線維と遅い線維の差が大きくなります

※このことはCMAPで述べた”時間的分散”と同じような考え方だと思います。

-SNAPの持続時間は短く、近位部の刺激では速い線維の陰性相と遅い線維の陽性相が重なり得ます

-この場合、陰性相と陽性相の相殺が生じ、SNAPの振幅や面積が小さくなります。

→これが位相相殺の機序です。

生理的には刺激-記録距離が長くなると生じます(前述)。

・また、脱髄病変がある場合にも位相相殺が生じ得ることも理解できます。

・なお、CMAPは持続時間が長いため原則として位相相殺は生じにくいとされます。

 

③持続時間

持続時間duration:陰性ピークの立ち上がりから基線に戻るまでの時間です。

※終点を陰性ピーク、陽性ピーク、陽性波形が基線に戻る時点とすることもあります。

 

【F波】

⓪基本事項

f:id:p_kun:20220103204524j:plain

臨床神経生理学 46巻4号:168-174

後期反応late responseと呼ばれ、他にH波やA波などが含まれます。

運動神経刺激時に得られる波形です。

・運動神経刺激時の逆行性インパルス→脊髄前角細胞→順行性インパルスで記録されます。

・F波はCMAP(M波)に続く、潜時のバラつきのある微小な電位として認めます。

刺激ごとに興奮する前角細胞が異なるため、刺激ごとに波形や潜時が異なります。

尺骨(or正中)神経脛骨神経で特に安定して出現し、検査対象となることが多いです。

・M波とよく分離するため、原則として遠位部刺激で記録します。

刺激部位より近位部の異常も含めて検出できるという臨床的意義があります。

※CMAPやSNAPでは刺激部位より遠位の異常のみを検出します。

・今回示す検査項目以外にF波伝導速度やF率などもありますが、煩雑になるため割愛します。

 

①最小潜時

再現性のある最小潜時(F-latency)を測定します。

・正常値と比較する際は、身長や四肢長で補正する必要があります。

 

②出現頻度

10回以上(16回が多い)の刺激で、何回F波が出現したかで表します。

・特に上肢(e.g.正中神経)では、生理的に100%の出現率にならないこともあります。

 

【異常所見】

⓪基本事項

・末梢神経障害は、大きく軸索障害脱髄に分けられます。

脱髄はさらに後天性(節性脱髄)先天性(髄鞘形成障害)に分けられます。

・しばしば軸索障害と脱髄は併存しており、どちらが主だっているかを判断します。

 

①軸索障害

振幅低下:まず認める代表的な所見です。CMAP、SNAPとも生じ得ます。

→感覚/運動神経とも障害された場合、まずはSNAPの振幅低下を認めます。

伝導速度低下:進行例のみに認め、せいぜい正常下限の70%程度までとされます。

潜時(DL)延長:進行例のみに認め、せいぜい正常上限の130%程度までとされます。

※伝導速度や潜時の異常は”大径の有髄線維(伝導速度の速い線維)”の障害に起因します。

・なお、軸索障害では臨床的に支配筋の筋力低下や筋萎縮を伴い得ます

 

●axonal conduction block

・GBSのうち軸索障害が主体のAMANで認める、早期に改善する伝導ブロックです。

※AMAN:Acute Motor Axonal Neuropathy、急性軸索型運動ニューロパチーです。

脱髄との鑑別として、病的時間的分散を認めないことが重要です。

・ランビエ絞輪部でNaチャネルが免疫介在性の障害を受けることが機序とされます。

 

②節性脱髄(後天性)

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臨床神経生理学 44巻4号:203-211

伝導速度低下:正常下限の70-80%以下の低下とされます。

潜時(DL)延長:正常上限の125-150%以上の延長とされます。

病的時間的分散:遠位部に比した近位部刺激のCMAP持続時間が15-30%以上延長しているものです。

→詳細は【CMAP】の項目に記載があります。節性脱髄に特徴的な所見です。

伝導ブロック:遠位部に比して近位部刺激でCMAP振幅/面積の異常な低下があります。

→一般的には(特に面積が)50%以下となっている場合に伝導ブロックの可能性が高いと考えます。

→ただし、明確な基準はなくCMAP低下に見合う筋力低下があるかが重要です。

F波異常:潜時延長や出現頻度の明らかな低下を認めます。

→特に近位部刺激部位より、さらに近位に脱髄がある病態で重要です。

CMAP持続時間延長:遠位部/近位部とも延長を認め、病的時間的分散と異なります。

→この場合、遠位部刺激部位より、さらに遠位に脱髄があるものと考えます。

 

●伝導ブロック

正常有髄神経における跳躍伝導

-ランビエ絞輪部でNaチャネルが開き活動電位が発生します。

-この時、Naイオンの内向きの流れ(内向きイオン電流)が生じます。

-この電流は髄鞘に覆われた軸索内を流れて、次の絞輪部に達します。

-ここで陽性荷電を蓄積させ、軸索外の陰性荷電を引き付けます。

-この時、外向きの電流が生じます。

-これが駆動電流となり、脱分極→Naチャネルが開き活動電位が発生します。

-このようにして、絞輪部を軸とした跳躍伝導が生じます。

脱髄が生じると、脱髄部で外向き電流の散逸を生じます。

→すなわち、絞輪部での駆動電流が減少し脱分極が生じにくくなります

脱髄が軽度:イオンの蓄積に時間がかかるものの活動電位は発生します。

→結果として伝導速度の低下を生じます。

脱髄が高度:活動電位の発生すら難しくなります。

→結果として伝導が不能となり、このような神経線維が多くなると伝導ブロックを生じます。

・すなわち、伝導ブロックは神経線維の伝導が不能となるため生じます。

遠位に比した近位部刺激のCMAPの振幅や面積の低下として現れます。

・一方で1本1本の神経線維の伝導をCMAPから100%知ることは不可能です。

→検査所見のみで明確に伝導ブロックの有無を判断することは不可能とされます。

・そのため前述のように、伝導ブロックを疑う検査所見と筋力低下が合致していれば”伝導ブロックあり”と考えるようにします。

・逆に脱髄で筋力低下を認める場合、伝導ブロックの存在を疑います。

脱髄で筋力低下を認める他の原因として、”(二次的な)軸索障害の合併”もあります。

・なお、刺激強度が不足していると見かけ上の伝導ブロックを生じ得るため、注意が必要です。

 

髄鞘形成障害(先天性)

・遺伝性ニューロパチーの”Charcot-Marie-Tooth病1型”で認めます。

全神経で均一に高度の伝導速度低下潜時(DL)延長を認めます。

・そもそも形成障害であり、障害が均一であるため伝導ブロックは認めません

重症例ではCMAP振幅/面積低下病的時間的分散が見られることもあります。

 

【手技】

①正中神経(median nerve)

運動神経伝導検査

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きれいにとれるシリーズ 誘発電位編

導出電極:短母指外転筋(APB)の筋腹で、最もボリュームのある部位に置きます。

基準電極:APBの腱(MP関節)に置きます。

刺激部位(手関節):手掌側末端の横ひだから3cm近位に陰極を置きます。

刺激部位(肘関節):肘の横ひだに陰極を置きます。上腕動脈の内側が目安です。

※更に近位では腋窩やErb点(鎖骨上窩)も刺激し得ますが、手技の難易度が高いです。

F波の記録の際は、手関節部で16回刺激を行います。

 

Martin-Gruberの変則

・前腕で頻度の高い正中から尺骨神経への交通枝をMartin-Gruberの変則枝と呼び、正常破格です。

欧米人では15-30%の頻度とされ、両側性に認めることが多いとされます。

・この場合、肘関節における正中神経刺激で尺骨神経支配筋の一部も刺激されます。

CMAPの波形が複雑であったり、振幅が明らかに手関節<肘関節となる場合に疑います。

・肘関節刺激時に刺激部位や強度を適当に加減すれば、正中神経のみを刺激できます。

 

感覚神経伝導検査(逆行性)

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きれいにとれるシリーズ 誘発電位編

導出電極:示指のPIP関節に置きます。

基準電極:示指のDIP関節に置きます。

刺激部位:手(・肘)関節について運動神経伝導検査と同部を刺激します。

 

手根管症候群の検査所見

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きれいにとれるシリーズ 手根管症候群の検査法

手根管における正中神経の圧迫が病態とされます。

運動神経:潜時(DL)延長、振幅低下(特に軽症例では伝導ブロックを反映)。

感覚神経:潜時(DL)延長、SCV遅延、振幅低下。

軽症例の検査所見は、軸索障害よりも髄鞘の障害が目立ちます。

重症例では軸索障害を認め、SNAPやCMAPも導出されない症例もあります。

手根管における正中神経の圧迫を証明する検査方法はいくつかあります。

→今回は2L-PI法(第2虫様筋-背側骨間筋試験)を示します(図)。

正中神経刺激による第2虫様筋尺骨神経刺激による骨間筋CMAP潜時を比較します。

→両筋とも同じ部位(示指MP関節より近位の皮線が目安)で記録ができます。

潜時差が0.6m秒以上ある場合を異常と考えます。

 

②尺骨神経(ulnar nerve)

運動神経伝導検査

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きれいにとれるシリーズ 誘発電位編

※尺骨神経は肘部管内で上下に移動し、関節の位置で刺激電極-神経分節の関係に変化が生じます。

→検査は肘関節を90°または135°屈曲した状態で行います。

導出電極:小指外転筋(ADM)の筋腹で、中央より近位寄りに置きます。

基準電極:ADMの腱(MP関節)に置きます。

刺激部位(手関節):手掌側末端の横ひだから3cm近位に陰極を置きます。

※尺側手根屈筋腱の内側を目安とします。

刺激部位(肘下部):内側上顆より遠位で、尺側手根屈筋の外側縁の筋腹の境を目安にします。

刺激部位(肘上部):内側上顆より近位で、肘下部と10cm以上の距離を取ります。

※更に近位では腋窩やErb点(鎖骨上窩)も刺激し得ますが、手技の難易度が高いです。

F波の記録の際は、手関節部で16回刺激を行います。

 

感覚神経伝導検査(逆行性)

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きれいにとれるシリーズ 誘発電位編

導出電極:小指のPIP関節に置きます。

基準電極:小指のDIP関節に置きます。

刺激部位:手(・肘)関節について運動神経伝導検査と同部を刺激します。

 

③橈骨神経(radial nerve)

運動神経伝導検査

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きれいにとれるシリーズ 誘発電位編

※前腕回内位(正中/尺骨神経は回外位)で行います。

導出電極:固有示指伸筋(EIP)に置きます。尺骨茎状突起の2-3横指近位部が目安です。

※橈骨神経の最末端の支配筋で、示指の伸展に関与します。

基準電極:尺骨茎状突起上に置きます。

刺激部位(前腕):導出電極から8-10cm近位の尺側手根伸筋と小指伸筋の間に陰極を置きます。

刺激部位(近位):上腕骨外側上顆より約6cm近位の腕橈骨筋と上腕二頭筋の間に陰極を置きます。

※更に近位では腋窩やErb点(鎖骨上窩)も刺激し得ますが、手技の難易度が高いです。

・橈骨神経では、F波の記録はルーチンで行われない傾向です。

 

感覚神経伝導検査(逆行性)

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きれいにとれるシリーズ 誘発電位編

※感覚線維のみの浅橈骨神経が対象となります。

導出電極:anatomical snuff boxを目安に、長母指伸筋腱上に置きます。

基準電極:導出電極の3cm遠位で、示指MP関節が目安です。

刺激部位:橈骨上で、導出電極から10-14cm近位を目安に陰極を置きます。

 

④脛骨神経(tibial nerve)

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きれいにとれるシリーズ 誘発電位編

・感覚神経伝導検査はルーチンで行わない印象があり、割愛します。

導出電極:母趾外転筋(AH)の筋腹で、舟状骨の1cm下方かつ1cm後方に置きます。

※いわゆる土踏まずのアーチの中央に相当します。

基準電極:第1趾の基部に置きます。

刺激部位(内果):内果後方(アキレス腱との間)に陰極を置きます。

※深部で閾値が高いことが多く、電極をしっかり押し当て、適宜内側上方に押し込みます。

刺激部位(膝窩):膝窩中央やや外側の深く窪む位置に陰極を置きます。

※外側に腓骨神経があり、注意を要します。足関節が背屈すると刺激してしまっています。

・生理的時間的分散の機序で、脛骨神経の膝窩部のCMAP振幅は内果に比して60%程度まで低下し得ます。

F波の記録の際は、内果で16回刺激を行います。正常では100%導出されます。

 

⑤腓骨神経(peroneal nerve)

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きれいにとれるシリーズ 誘発電位編

・感覚神経伝導検査はルーチンで行わない印象があり、割愛します。

導出電極:短趾伸筋(EDB)の筋腹に置きます。

※足関節を背屈させ、外果前方の筋腹を確認します。

基準電極:第5趾の基部に置きます。

刺激部位(足関節):足首部長母指伸筋腱より約1cm外側(足関節背側)に陰極を置きます。

刺激部位(近位):腓骨頭遠位部や膝窩部(大腿二頭筋腱内側)に陰極を置きます。

※刺激で足関節が背屈することを確認します。

F波の記録の際は、足関節で16回刺激を行います。出現頻度が低い傾向にあります。

・腓骨神経は正座などで圧迫されやすく、元からCMAPやF波が確認できないこともあります。

 

⑥腓腹神経(sural nerve)

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・感覚線維のみの神経であり、感覚神経伝導検査(逆行性)のみを行います。

導出電極:外果の1横指外側(アキレス腱との間)に置きます。

基準電極:導出電極の3cm遠位に置きます。

刺激部位:導出電極より12-14cm中枢側の下腿後面中央に陰極を置きます。