内科医キューピーのつぶやき

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抗MOG抗体関連疾患の診療

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キューピーです。

 

抗MOG抗体関連疾患は近年、比較的注目度の高い疾患です。

 

様々な場面で鑑別となるため、概要について知っておく必要があると思われます。

 

今回はできる限り新しい情報を集め、まとめてみました。

 

※この記事の内容が原因で生じたいかなる不利益にも責任は負いかねます。

 

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目次

 

 

【参考文献】

Journal of Neuroradiology 46 (2019) 312–318

Neurol Neuroimmunol Neuroinflamm 2017;4:e322

 

【基本事項】

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BRAIN AND NERVE 2021年 5月号(増大号)を参考に作成

・MOG:Myelin Oligodendrocyte Glycoproteinです。

・MOGは中枢神経の髄鞘の構成蛋白の1つです。

・上図の如く、種々の疾患との関連が示唆され、様々な病型が含まれます。

・一方で典型的なMSや抗AQP4抗体陽性のNMOSDとは独立した疾患とされています。

小児はADEM成人は視神経炎が最も多い病型とされます。

女性30歳代に好発する可能性が示唆されています。

・病理学的には、血管周囲などに炎症性脱髄が生じていることが示唆されています。

・半数弱の症例で何らかの感染が先行したという報告もあります。

 

【診断】

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https://www.cosmic-jpn.co.jp/contractservice/images/MOG_01.pdf

・診断基準はありませんが、血清(髄液)のCBA法で抗MOG抗体陽性を確認します。

髄液検査:細胞数増多、IL-6増加、MBP増加(皮質性脳炎以外)が多いとされます。

VEP:P100の延長を認めることが多いとされます。

・臨床像やMRI所見は後述する病型ごとに述べます。

 

【病型】

①視神経炎

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Journal of Neuroradiology 46 (2019) 312–318

・MSや抗AQP4抗体陽性の視神経炎に比して以下の特徴があります。

-発症年齢が幼児から高齢者まで幅広い。

-性差を認めない。

-眼痛は比較的強い(ただし他2者も認める)。

-再発性の経過をたどるものの視力は保たれやすい

-両側性の場合も多い。視交叉病変は稀である。

-治療反応性が比較的良い

MRI所見

-長い病変が多く、視神経全長にわたる造影効果両側性に認め得る。

-しばしば視神経乳頭浮腫も認め得る。

-視神経の腫脹蛇行を示すことが多い。

-眼窩内脂肪織に造影効果を認めることがある(眼痛との関連も示唆されている)。

・治療はステロイドパルス療法が多く、PEやIVIgを併用することもあります。

反応性良好で腫脹が軽減することが多く、慢性期に視神経萎縮をきたすことは稀です。

 

②脊髄炎

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Journal of Neuroradiology 46 (2019) 312–318

報告により所見にばらつきがあります。

・一般的に長軸方向に長い病変が多く、視神経炎と合併することもあります。

→一方で短い病変をきたすという報告も散見されます。

下位脊髄に好発し、脊髄円錐に生じた病変により排尿障害を認めることが多いとされます。

→一方で頚髄病変が多いとする報告もあり、一定しない部分もあります。

・横断面では中央部分にH字型を認めやすいとされています。

境界不明瞭な不均一な造影効果を伴うことがあります(cloud-like enhancement)。

・症状として対麻痺は軽いことが多く、感覚障害が主体となる傾向があります。

・視神経炎同様、発症年齢は幅広く、性差を認めません。

・また、治療反応性も良く、再発頻度が低い特徴もあります。

 

③脳幹脳炎

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Journal of Neuroradiology 46 (2019) 312–318

第4脳室周囲に好発し、点状または曲線状の造影効果を伴い得ます。

CLIPPERS神経ベーチェット病などステロイド反応性脳幹病変が鑑別になります。

 

④皮質性脳炎

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Neurol Neuroimmunol Neuroinflamm 2017;4:e322

・MSや抗AQP4抗体陽性のNMOSDには認めず、特徴的な病型です。

・診断には頭部MRIFLAIRの高信号を認めることが重要です。

他のシーケンスで異常を捉えにくく、例えばDWIで目立つ痙攣後脳症との鑑別点にもなります。

→病変の分布によって片側型両側前頭葉内側型に分類されます。

・その他にASL像や脳血流シンチで病変部の血流増多を認め得ることも知られています。

症状:痙攣、頭痛、発熱、病変由来の皮質症状、その他髄膜炎症状など。

特に痙攣を認める頻度が高く、二次性全般化であることが多いとされます。

痙攣+皮質病変から、鑑別としてラスムッセン脳炎抗NMDA受容体脳炎が重要とされます。

※後者はNMDAR-encephalitis with overlapping demyelinating syndromesとして合併し得ます。

 

【治療】

⓪基本事項

・大きく”急性期治療”と”再発予防治療”に分かれます。

・特に高い抗体価が持続する場合は再発のリスクが高いとされます。

・現時点で治療法は明確には確立していません

 

①急性期治療

ステロイドパルス療法を行うことが多いです。

投与例:メチルプレドニゾロン 1000mg 1日1回2時間かけて点滴 3-5日間。

・無効例では血漿浄化療法(PP)あるいはIVIgを検討します。

 

②再発予防治療

ステロイドパルス療法に引き続き、経口ステロイドの後療法を行うことが多いです。

投与例プレドニゾロン 10-15mg/日 3-6か月投与、慎重に漸減中止を検討。

・原則としてCBA法で抗MOG抗体陰性が確認できれば、治療の終了を考慮します。

・その他にアザチオプリン毎月のIVIgリツキシマブなどが有効である可能性があります。

・一方でMSのDMTは無効であると考えられています。