内科医キューピーのつぶやき

医学部首席になれた勉強法や医学情報を発信したりします。

ネーザルハイフロー(HFNC)の使い方

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キューピーです。

 

HFNC(High Flow Nasal Canula)は加温加湿した酸素を、高流量で経鼻的に投与します。

 

患者の吸気量以上の流量の投与により、外気で薄まらない一定濃度の酸素を投与できます。

 

COVID-19含め、近年使用される機会も増えてきているようです。

 

設定も難しくはないですが、今回改めて基本事項を確認してみます。

 

※この記事の内容が原因で生じたいかなる不利益にも責任は負いかねます。

 

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目次

 

 

【参考文献】

 

【基本事項】

・HFNCは”患者の吸気量以上”の流量を投与できるシステムです。

→これにより外気で薄まることなく設定通りのFiO2の酸素を投与できます。

※通常の鼻カヌラや酸素マスクでは、どうしても外気で薄まってしまいます。

・構造は鼻カヌラ+酸素ブレンダー+人工呼吸器用の加温加湿器です。

→忍容性の高い鼻カヌラなのに、高流量/高濃度酸素を投与でき、乾燥も問題になりません。

・装着中でも会話や食事が可能で、QOL維持にも役立ちます。

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高流量鼻カニュラ酸素療法 - Wikipedia

 

【原理と効果】

①設定通りのFiO2の酸素投与が可能

・通常の鼻カヌラでは高流量酸素の投与はできません。

→この場合、室内気も同時に吸入してしまい、酸素濃度が薄まってしまいます

→このように低流量の酸素投与では、酸素濃度が狙いよりも低くなってしまいます。

・また無理に高流量酸素を投与しても、刺激や乾燥のため、患者が耐えられません。

・一方でHFNCは患者の吸気量以上の高流量(最大60L/分)の投与が可能です。

→すなわち、患者の吸気を全てHFNC由来のものにすることができます。

→刺激や乾燥の問題も人工呼吸器用の加温加湿器を用いることでクリアしています。

・以上より、HFNCでは設定通りの酸素濃度(FiO2)の気体を投与することができます。

・理論上はFiO2 100%までの酸素の投与が可能です。

 

②軽度の換気補助

・高流量酸素の投与により、鼻腔内の50mLの解剖学的死腔のCO2が洗い流されます

・これにより、軽度の換気補助呼吸仕事量の軽減が期待できます。

・しかし、あくまで”軽度”であり、高CO2血症の改善は期待できません

 

③ごく軽度のPEEPがかかる

・以下の程度のPEEPがかかるとされます。

-30L/分:1.93cmH2O

-40L/分:2.58cmH2O

-50L/分:3.31cmH2O

-開口時:1-2cmH2O

・程度としてはごく軽度であるため、通常のPEEPのような効果は期待できません

呼吸仕事量の軽減は期待できます。

 

【適応】

努力様呼吸の強くない1型呼吸不全

→換気補助効果はあっても弱く、原則として2型呼吸不全には適応となりません。

術後や抜管後の呼吸不全(予防)

→予防目的の使用では抜管後24時間の使用とします。

 

【適応の具体例】

・肺炎(COVID-19含む)

間質性肺炎の増悪

・術後の無気肺

・大動脈解離後の低酸素血症

気管挿管手技や気管支鏡施行中

など

※うっ血性心不全COPD急性増悪にはNPPVの方が推奨されます。

 

【使用方法】

①設定

流量

40-50L/分で開始し、60L/分程度まで調節を行います。

・”吸気時”に鼻腔や口元に手をかざし、”空気の漏れ”を感じるか確認します。

→この時に漏れを感じれば”患者の吸気量以上の流量”を投与できるHFNCの役割を果たしていると言えます。

漏れがない場合は吸入気が外気で薄まっていると考えられるため、流量を上げます。

・可能な限り患者にとって快適な流量に設定できるようにします。

※60L/分だと勢いはかなり強く、患者の忍容性は必ずしも良くありません。

 

FiO2

SpO2やPaO2が目標に達するように調節します。

21-100%の間で調節可能ですが、次項の内容を把握するとイメージがしやすいです。

 

●コラム:低流量酸素療法のFiO2

鼻カヌラ

酸素マスク

リザーバーマスク

酸素流量(L/分)

FiO2(%)

酸素流量(L/分)

FiO2(%)

酸素流量(L/分)

FiO2(%)

1

24

5-6

40

6

60

2

28

6-7

50

7

70

3

32

7-8

60

8

80

4

36

 

 

9

90

 

 

 

 

10

90-

・鼻カヌラのFiO2=20+(4×酸素流量)

・酸素マスクのFiO2=8×酸素流量

・リザーバーマスクのFiO2=10×酸素流量

→これらを把握しておくとFiO2の調節のイメージが付きやすいと思います。

 

②中止と離脱

中止:使用後30分-1時間で病態の改善が乏しい場合にNPPVや人工呼吸管理への変更を検討します。

離脱:流量 40L/分かつFiO2 30-40%で目標のSpO2を達成できる場合に検討します。

→離脱とする場合、鼻カヌラ 4Lへ移行することが多い印象です。