●この記事は2021/3/4に内容更新しました。
キューピーです。
てんかん診療は多くの場面で必要になりますが、非常に難しい分野です。
今回は基本的な事項に的を絞り、まとめてみました。
専門領域ではさらに奥深く、難しいものとなります。
※この記事の内容が原因で生じたいかなる不利益にも責任は負いかねます。
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目次
- 【参考文献】
- 【てんかんの基本事項】
- 【てんかんの分類】
- 【治療の適応と原則】
- 【レベチラセタム(LEV イーケプラ®)】
- 【ラモトリギン(LTG ラミクタール®)】
- 【ラコサミド(LCM ビムパット®)】
- 【ペランパネル(PER フィコンパ®)】
- 【クロバザム(CLB マイスタン®)】
- 【バルプロ酸(VPA デパケン®)】
- 【カルバマゼピン(CBZ テグレトール®)】
- ●コラム:抗てんかん薬と妊娠
【参考文献】
てんかん診療ガイドライン2018|日本神経学会治療ガイドライン
【てんかんの基本事項】
・てんかんとは、てんかん性発作を引き起こす持続性素因を特徴とする脳の障害です。
→慢性脳疾患で、大脳の神経細胞が過剰に興奮し、発作性症状が反復します。
(てんかん診療ガイドライン2018|日本神経学会治療ガイドライン)
・定義(国際抗てんかん連盟(ILAE) 2014年)
-以下のいずれかの状態と定義される脳疾患である。
①24時間以上の間隔で2回以上の非誘発性発作が生じる。
②1回の非誘発性発作が生じ、その後10年間にわたる発作再発率が2回の非誘発性発作後の一般的な再発リスク(60%以上)と同程度である。
③てんかん症候群
※非誘発性発作:明らかな誘因がない慢性疾患としての自発発作。
※誘発性発作:いわゆる急性症候性発作と同義。
※てんかん症候群:West症候群など共通の臨床像を呈するもの。
・定義②については初回発作でも"てんかん"と定義され得るということです。
→具体的には脳卒中/頭部外傷/中枢神経感染症の発症から1週間以上後に発作を生じた場合です。
・問診事項(てんかん診療ガイドライン2018 日本神経学会)
-発作頻度 -発作誘因(光刺激など)
-発作前~中の状態(ビデオの有無)
-発作持続時間 -発作後の症状
-外傷、咬舌、尿失禁の有無
-発作後の頭痛と筋肉痛
-初発年齢 -最終発作
-発作型の変化と推移
-発作と覚醒/睡眠の関係
-既往歴(周産期異常/熱性痙攣/頭部外傷等)
-併存症(先天性疾患/頭蓋内疾患/認知症等)
-アルコールや麻薬歴
-家族歴 -社会歴
【てんかんの分類】
①発作型分類
てんかん診療ガイドライン2018|日本神経学会治療ガイドライン
・旧分類ではありますが、上記のILAE 1981年分類が頻用されています。
・部分(焦点)発作:発作が一側大脳半球だけのネットワーク内に起始し、はっきりと限局する、あるいはそれよりもう少し広汎に一側半球内に広がったもの。
・全般発作:発作が両側大脳半球のネットワーク内に起こり、このネットワークが急速に発作に巻き込まれるもの。
※新分類では"部分発作"は消失し、"焦点発作"に統一されています。
②症候群分類
てんかん診療ガイドライン2018|日本神経学会治療ガイドライン
・こちらも旧分類であるILAE 1989年分類が頻用されます。
・上記の1と2について4分類(2×2分類)と考えます。
→特発性/症候性と全般/部分の組み合わせによります。
・特発性:遺伝性素因の可能性以外の原因がないもの。
・症候性:皮質を含む陳旧性脳梗塞や脳腫瘍など、既知の病因によるもの。
・全般てんかん:全般発作を主症状とするもの。
・部分てんかん:部分発作を主症状とするもの。
・大部分が特発性全般てんかんか症候性部分てんかんに該当します。
→前者は25歳までの発症が多く、後者は高齢発症が多い傾向があります。
・下記に、大まかな各分類の特徴を示します。
⑴特発性部分てんかん
・小児期発症を特徴とします。
・局在関連発作症状と局在脳波所見を呈します。
・画像所見では異常を認めません。
⑵症候性部分てんかん
・病因となるような既往歴を認める場合に疑います。
・前兆を認めることが多いとされます。
・発作起始時-発作中に局在性の運動or感覚徴候を認めます。
・自動症は本分類を示唆する所見です。
※ただし欠神発作でも自動症を呈することはあります。
⑶特発性全般てんかん
・小児期(思春期前)の発症が多く、25歳以上の発症は稀です。
・原則として他の神経症候を認めません。
・睡眠やアルコールで発作が誘発される傾向があります。
・起床直後の強直間代発作やミオクロニー発作は本分類を示唆します。
・欠神発作も本分類を示唆します。
・脳波では光突発反応、全般性の3Hz棘徐波複合や多棘徐波複合が特徴です。
⑷症候性全般てんかん
・1歳未満の発症が多いです。
・神経症候の進行や退行を伴います。
・検査では広汎性脳波異常や器質的脳形態異常を示す傾向があります。
●コラム:てんかんの新分類
・2010年にILAEから新分類が発表されています。
・下記より更に新しい2017年版もILAEから発表されています。
・いずれも煩雑であり、臨床的にはあまり用いられない傾向があります。
・背景には正確さを追求するほど煩雑となってしまうてんかんの特徴があります。
・てんかん発作型分類(2010年改訂版 ILAE)
てんかん診療ガイドライン2018|日本神経学会治療ガイドライン
・症候群分類(2010年改訂版 ILAE)
てんかん診療ガイドライン2018|日本神経学会治療ガイドライン
【治療の適応と原則】
①適応
・非誘発性発作が2回以上生じた場合、治療を開始します。
・初回の非誘発性発作では原則として治療を開始しません。
・ただし以下の場合は初回発作から治療を検討することがあります。
-65歳以上である。
-脳波異常や画像病変を認める。
-てんかん症候群が強く疑われる。
・誘発性発作(急性症候性発作)では、原則として原疾患の治療を行います。
→発作を繰り返したり、重積する場合はてんかんに準じた対応を行います。
→この場合でも長期投与は不要なことが多いです。
・投薬は生涯続き得るので、治療開始については時間をかけて検討します。
→特に副作用や患者の希望(妊娠など)を十分に話し合います。
※現状として、てんかんと誤診されて投薬されている症例が多いようです。
→例えば失神を痙攣と誤診し、正常脳波を異常所見と誤認してしまった場合など。
②原則
・単剤かつ少量での治療開始が原則です。その後漸増していきます。
→"Start low and go slow"などと表されることもあります。
→最大用量で十分な効果が得られない場合は、第二の薬剤を付加漸増します。
→有効量に達したら、最初の薬物を漸減します。
・治療目標は発作および副作用がともに"0"であることです。
・抗てんかん薬の中止は原則として2年以上発作がない場合に検討します。
→中止後1年目で39-74%、2年目で35-57%が無発作を維持できると報告されています。
・中止する際は2-3か月以上かけて漸減していきます。
【レベチラセタム(LEV イーケプラ®)】
①適応
・焦点発作(二次性全般化発作を含む)
・他剤が無効の強直間代発作(他剤と併用)
②禁忌
・過敏症既往
※その他の禁忌や併用禁忌薬もありません。
③用量
・開始量:イーケプラ®500-1000mg/日(添付文書は1000mg分2)。
・増量方法:2週間以上の間隔をあけて1000mg/日ずつ増量します。
※添付文書は1000mg/日"以下"ずつ増量の記載です。
・維持量:1000-3000mg/日で、1000mg/日が発作抑制の割合が最高です。
→初期段階で有効用量を投与できる切れ味の良さがあります。
※原則として血中濃度測定は不要です。
④主な副作用
・眠気
・頭痛
・めまい
・不眠症
・易興奮性/攻撃性/焦燥
・好中球減少
・上気道炎
・皮疹(稀に重症薬疹)
⑤投与のポイント
・(ガイドライン上は)焦点発作の第一選択薬の1つです。
・全般発作も含めて広いスペクトラムを持ちます。
・開始段階で有効用量となり、切れ味の良さも特徴です。
→最高用量を使用できるのが早く、無効と判断できるタイミングも早いです。
・他剤との相互作用や強い副作用も少なく、妊娠や授乳への影響も少ないです。
・血中濃度測定は不要ですが、透析/中毒疑い/妊娠での濃度低下疑いは測定します。
→その際の治療域の目安は12-46μg/mLとなります。
・腎排泄であり、腎機能に応じて減量が必要です。
・副作用の易興奮性は、精神疾患既往者や精神発達遅滞がある場合に注意が必要です。
→ただし頻度は数%であり、可逆的かつ用量依存的です。
→そのため、易興奮性が出現しても減量して経過観察という選択肢もあります。
→また、"発作周辺期精神症状"を認める患者では、発作の治療が原則です。
→このような患者で、副作用を懸念するあまり治療機会を逸しないようにします。
・副作用の眠気の頻度が高いですが、経時的に慣れが生じる傾向があります。
・総じて使用しやすい薬剤と言えますが、薬価が高いのが難点です。
【ラモトリギン(LTG ラミクタール®)】
①適応
・焦点発作(二次性全般化発作を含む)
・強直間代発作
・定型欠神発作
・他剤が無効の焦点発作(他剤と併用)
・他剤が無効の強直間代発作(他剤と併用)
・他剤が無効のLennox-Gastaut症候群の全般発作(他剤と併用)
②禁忌
・過敏症既往
※その他の禁忌や併用禁忌薬もありません。
③用量
添付文書より
⑴単剤 or (2)や(3)以外の薬剤との併用
・開始量:ラミクタール®25mg/日 2週間。
・増量方法:次の2週間は50mg/日、その後は1-2週間ごとに最大100mgずつ増量します。
・維持量:200-400mg/日を目安にします。
※慎重を期して、⑵の投与計画に準ずるべきという意見もあります。
⑵バルプロ酸との併用
・開始量:ラミクタール®25mg/隔日 2週間。
・増量方法:次の2週間は25mg/日、その後は1-2週間ごとに25-50mgずつ増量します。
・維持量:100-200mg/日を目安にします。
※クリアランスが低下するため、通常より少量での投与計画になります。
⑶グルクロン酸抱合を誘導する薬剤との併用
・開始量:ラミクタール®50mg/日 2週間。
・増量方法:次の2週間は100mg/日、その後は1-2週間ごとに最大100mgずつ増量します。
・維持量:200-400mg/日を目安にします。
※フェニトイン、カルバマゼピン、フェノバルビタール、プリミドン、リファンピシン、ロピナビル/リトナビル配合剤が該当します。
④主な副作用
・皮疹(DIHS/SJS/TEN含む)
→一般的には開始3か月以内に生じ、生じた際は直ちに内服を中止してもらいます。
※添付文書によると、重症薬疹の頻度は0.1%程度です。
・肝障害
・腎障害
・血球減少
・CBZ副作用増悪(頭痛/複視/運動失調など)
→"テグレ酔い"増悪をきたした場合は、CBZを減量すると症状が軽快します。
※すぐにLTGの減量を行わないようにします。
⑤投与のポイント
・(ガイドライン上は)焦点発作の第一選択薬の1つです。
・全般発作も含めて広いスペクトラムを持ちます。
・重症薬疹のリスクがあり"Start low and go slow"が特に重要な薬剤です。
→前述のように併用薬により用量の調整も必要になります。
・重症薬疹は開始3か月以内に生じ、生じた際は直ちに内服を中止するよう伝えます。
※それ以上の長期副作用として重症薬疹が出現することはありません。
・妊娠や授乳への影響が極めて少なく、大きな利点の1つです。
・腎不全は慎重投与ですが、その用量調整について確固たるエビデンスはありません。
・LEV同様、長期的な副作用は少なく比較的使いやすい薬剤と考えます。
※繰り返しになりますが、投与初期の薬疹には注意が必要です。
【ラコサミド(LCM ビムパット®)】
①適応
・焦点発作(二次性全般化発作を含む)
②禁忌
・過敏症既往
・重度の肝機能障害
③用量
・開始量:ビムパット®50mg2錠2×朝夕食後。
・増量方法:1週間以上あけて100mg/日以下ずつ増量します。
・維持量:200mg/日を目安にします。最大でも400mg/日とします。
※CCr<30や中等度以下の肝機能障害では、最大300mg/日とします。
④主な副作用
・浮動性めまい
・頭痛
・房室ブロック/徐脈/失神(PR間隔延長)
・悪心/嘔吐
・肝障害
⑤投与のポイント
・焦点発作に対して、近年注目されている薬剤です。
・日本のガイドラインでは焦点発作の第二選択薬とされています。
→実臨床では、第一選択薬として使用されつつあります。
・CBZやLTGと同じNaチャネル阻害薬です。
・眠気や精神症状の副作用が出にくく、薬疹のリスクも低いです。
・ただし、浮動性めまいの副作用は比較的出やすいです。
・有効性についてもCBZに非劣勢であることが示されています。
・他の抗てんかん薬を含めて、臨床的に重要な薬物相互作用もありません。
・また、原則として血中濃度測定は不要です。
→有効性が高く使いやすいことから、焦点発作の治療薬として注目されています。
・重篤な副作用として、特に心伝導障害には注意を要します。
・腎機能や肝機能によっては減量が必要です。
・妊婦や授乳婦に対する安全性は確立されていません。
・静注薬もあり、今後は使用頻度が増えることが予想されます。
・また、今後は全般発作に対しても適応を取得する可能性もあります。
【ペランパネル(PER フィコンパ®)】
①適応
・焦点発作(二次性全般化発作を含む)
・他剤が無効の強直間代発作(他剤と併用)
②禁忌
・過敏症既往
・重度の肝機能障害
③用量
・開始量:フィコンパ®2mg1錠1×就寝直前。
※服用後30分で眠気やふらつきのピークとなるため、必ず"直前"とします。
・増量方法:1週間以上あけて2mg/日以下ずつ増量します。
※単剤療法の場合は、2週間以上あけることが望ましいです。
・維持量:4-8mg/日で、CBZやフェニトインと併用する場合は8-12mg/日です。
④主な副作用
・めまい
・眠気
・頭痛
・易興奮性/攻撃性
・悪心/嘔吐
⑤投与のポイント
・AMPA受容体阻害薬で、これまでとは全く異なる作用機序の新薬です。
→従来薬で難治であった症例に著効することがあります。
・特に神経膠腫による焦点発作に著効する可能性が示唆されています。
※神経膠腫の放出するグルタミン酸への対応が、従来の機序では難しかったためです。
・服用後30分で眠気やふらつきのピークとなるため、必ず"就寝直前"の内服とします。
・副作用は易興奮性/攻撃性が懸念されますが、数か月単位で発生することもあります。
・効果や副作用については、まだ"読めない"部分があり、今後の知見集積が待たれます。
【クロバザム(CLB マイスタン®)】
①適応
・焦点発作(他剤と併用)
・全般発作(他剤と併用)
②禁忌
・過敏症既往
・急性閉塞隅角緑内障
・重症筋無力症
③用量
・開始量:マイスタン®5mg1錠1×夕食後。
・増量方法:発作が残存すれば10-20-30-40mg/日と漸増します。
※眠気などの副作用も指標としながら増量していきます。
・維持量:発作消失を目安とします。最大用量は40mg/日です。
④主な副作用
・眠気
・めまい
・依存
・複視
・喀痰増加/喘鳴
⑤投与のポイント
・ベンゾジアゼピン系の抗てんかん薬で、あらゆる発作型に効果があります。
・原則として他の薬剤で効果不十分の場合に、併用薬として用います。
※ただし併用で発作が抑制でき、他剤の副作用が問題となれば単剤で使用し得ます。
・従来のBZ系より発作抑制作用や抗不安作用が強く、鎮静作用は弱いとされます。
→てんかん診療には有利な特徴であると考えられます。
・重篤な副作用は稀で、眠気が用量の規定因子となることもあります。
・耐性(長期服用で効果減弱)や中止の際の離脱症状には注意が必要です。
・他の薬剤と異なり、発作の多いタイミングで増量するような使用法も可能です。
※"レスキュー"とも表現されます。ただし非専門医には難しく感じる面もあります。
【バルプロ酸(VPA デパケン®)】
①適応
・全般発作
・焦点発作
・躁状態
・片頭痛の発作予防
②禁忌
・過敏症既往
・重篤な肝障害
・尿素サイクル異常症
・カルバペネム系との併用禁忌
・妊婦
※てんかんや躁状態では必要時に限り、妊婦に慎重投与となります。
③用量
・開始量:デパケンR®錠 200-400mg/日。適宜漸増していきます。
・維持量:400-1200mg/日を目安にします。
・治療域の血中濃度:50-100μg/mL。
④主な副作用
・振戦
・薬剤性パーキンソニズム
・低Na血症(SIADH)
・肝障害
・急性膵炎
・高アンモニア血症(症状なければ経過観察可)
・体重増加(食欲亢進による 長期内服時)
・脱毛(長期内服時)
・骨粗鬆症(長期内服時)
⑤投与のポイント
・全般発作の唯一の第一選択薬です。
・焦点発作に対しては第一選択薬ではありません。
・投与初期の副作用が少なく処方されやすいですが、長期の副作用の頻度は高いです。
・また、種々の薬剤との相互作用も多く注意を要します。
→特に前述のラモトリギンや併用禁忌薬のカルバペネムには要注意です。
・腎機能による用量調整の必要はありません。
・最大のポイントは妊娠への影響です(後述)。
→投与量を最小限かつ葉酸併用下では妊娠も可能です。
【カルバマゼピン(CBZ テグレトール®)】
①適応
・焦点発作
②禁忌
・過敏症既往
・重篤な血液障害
・房室ブロック(Ⅱ度以上)や徐脈(<50bpm)
※併用禁忌薬は添付文書記載の通りで、血中濃度を減少させ得ます。
③用量
・開始量:テグレトール®100mg 2錠分1-2。
→最初の数日は100mg/日とし、副作用がなければ200mg/日にしてもらいます。
・増量方法:副作用や血中濃度を参考にしながら100mg/2-4週で増量します。
・維持量:200-800mg/日程度が目安です。
→発作抑制や治療域(4-12μg/mL)を参考にしながら維持量を決定します。
④主な副作用
⑴用量依存性副作用
・ふらつき/複視/運動失調(テグレ酔い)
→最も多いです。肝の酵素誘導による血中濃度低下で、次第に慣れる傾向があります。
※テグレ酔いが生じたら100mg→200mg/日への増量はpendingしてもらいます。
・低Na血症(SIADH)
→利尿薬投与中の患者では併用を避けた方が無難です。
・心伝導系障害/心不全
・認知機能低下
・骨粗鬆症(長期服用時)
⑵特異体質による副作用
・皮疹(DIHS/SJS/TEN含む)
→一般的には開始3か月以内に生じ、生じた際は直ちに内服を中止してもらいます。
・肝障害
・血球減少
⑤投与のポイント
・焦点発作の第一選択薬です。
・LEVやLTGなどの登場で新規使用の頻度は減少した印象です。
・また、同じNaチャネル阻害薬のラコサミド(LCM)の登場で更に減少すると思います。
※LCMは"副作用の少ないCBZ"とすら言われます。。。
・"Start low and go slow"が特に重要な薬剤です。
→最初の数か月は発作が減らなくても"本剤に慣れる"期間と考えます。
・投与初期のテグレ酔いや皮疹に注意します。
・併用禁忌薬以外にも多くの併用注意薬が存在します(添付文書)。
・VPAよりは低いものの、催奇形性のリスクがあります。
●コラム:抗てんかん薬と妊娠
てんかん診療ガイドライン2018|日本神経学会治療ガイドライン
・VPAは胎児奇形のリスクとなり、妊娠に際しての投与は積極的には推奨されません。
・更にVPAは出生児のIQ低下や自閉症との関連も示されています。
→VPAでなければ発作を抑制できない場合のみ許容されると考えます。
→この場合、最低限の用量(600mg/日以下)かつ葉酸投与を行います。
→葉酸投与量は0.4-0.6mg/日程度でよいですが、5mg製剤でも可です。
・一方で特に胎児奇形リスクが低い薬剤はLTGとLEVです。
→従って、基本的にはこれらの薬剤が推奨されます。
・LTGやLEVは妊娠に伴い血中濃度が低下し得ることが知られています。
→妊娠前に血中濃度を測定しておき、妊娠中にフォローします。
※適宜増量しますが、妊娠後の血中濃度上昇に注意します。
・LCMはデータ不十分のため、現時点での安全性は不明です。
・授乳は(LCM以外は)特に問題ありません。