キューピーです。
肘内障は比較的簡単に整復できることから、有名な疾患です。
今回はそんな肘内障の診療をまとめます。
※この記事の内容が原因で生じたいかなる不利益にも責任は負いかねます。
↓1日1クリックお願いしますm(__)m
目次
【参考文献】
【基本事項】
・典型的には親が子の手を強く引っ張った後に、腕を下げたまま動かさなくなります。
・病態は腕橈関節における橈骨頭の亜脱臼です。
→"橈骨頭を取り巻く輪状靱帯から橈骨頭が引っ張られて抜けそうになった状態"です。
・肘関節周囲の骨折が鑑別となります。
・徒手整復で比較的容易に軽快します。
「肘内障」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる より画像引用
【診断】
・"子供の手を引っ張った後に腕を下げたまま動かさなくなった"という病歴なら診断は容易です。
・しかし稀ではありますが、以下のような受傷機転もあり得ます。
-転倒で上肢が体の下敷きになり、前腕回内を強制された。
-寝ている間に上肢が体の下敷きになり、起床時に上肢を動かさなかった。
→典型的な受傷機転でない場合、必ず肘関節XP(正面/側面)で骨折を否定してから整復します。
・肘内障のみで皮下血腫を認めることはないため、認める場合は骨折を疑います。
・また、肘の痛みではなく、手関節や肩の痛みを訴える場合もあります。
→このような場合も、受傷機転から疑わしければ肘内障を念頭に置きます。
【治療】
・受傷機転が肘伸展位での前腕回内+牽引であるので、その逆を行い整復します。
→"前腕を回外させつつ"、速やかに"肘を屈曲"します。
・この時、一方の手の母指で橈骨頭を触れると整復時のクリックを感じることができます。
・また、整復感が得られない場合は過回外しながら肘を深屈曲します。
※これで整復感がなくても、通常であれば整復されます。
・整復後も痛みによりしばらく上肢を動かそうとしないこともあります。
→5分程度待って再診します。近くで遊ばせておくと、その中で上肢を動かしていることを確認できることもあります。
・反復しやすいですが、成長とともに亜脱臼しなくなることを説明して帰宅とします。
※整復されない場合は骨折を考慮します。三角巾装着の上、翌日の整形外科外来受診とします。
「肘内障」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる より画像引用