内科医キューピーのつぶやき

医学部首席になれた勉強法や医学情報を発信したりします。

ネックカラー(頚椎カラー)の解除基準

にほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へ

キューピーです。

 

僕は内科なので関係は薄いのですが、最低限の外傷診療の知識もまとめます。

 

まずは意外と真面目に考えたことのない頚椎カラーについてです。

 

※この記事の内容が原因で生じたいかなる不利益にも責任は負いかねます。

 

↓1日1クリックお願いしますm(__)m

にほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へ

 

 

目次

 

 

【参考文献・サイト】

sports-doctor93.com

 

【まずPrimary survey】

・頚椎カラーの解除基準は、JATECのガイドラインに記載があります。

・ただしSecondary surveyでの議論となるため、まずはPrimary surveyが行われていることが大前提となります。

・以下にPrimary survey(ABCDEアプローチ)の要点をまとめておきます。

※なお、重傷外傷疑い患者には、全例で100%酸素(10-15L/分)投与とします。

 

①Airway

評価法:話せるか、声が出ているか。

処置:吸引、用手的気道確保、エアウェイ、BVM換気、気管挿管、輪状甲状靱帯穿刺/切開。

病態:気道閉塞(口腔内異物、血液や吐物誤嚥、口咽頭損傷、舌根沈下など)。

 

②Breathing

評価法:呼吸様式、左右の呼吸音、胸郭の動き、胸部体表の創傷、SpO2、胸部XP。

処置:酸素投与、BVM換気、緊急脱気、3辺テーピング(図)。

病態:気道閉塞、緊張性気胸、開放性気胸、大量血胸、フレイルチェストなど。

f:id:p_kun:20201105204804j:plain

外傷性気胸とは - 医療総合QLife より画像引用

 

③Circulation

評価法:頚静脈怒張、冷感・蒼白、頻脈・血圧低下、外出血、画像検査(F)。

処置:細胞外液ボーラス投与+圧迫止血→輸血、気管挿管、その他止血術。

病態:緊張性気胸、開放性気胸、大量血胸、心タンポナーデ、出血など。

 

④Dysfunction of CNS

評価法:以下のいずれかがあれば"切迫するD"と判断します。

-GCS≦8(またはJCS≧Ⅱ-30)

-GCSが2点以上低下

-脳ヘルニア(瞳孔不同(≧1mm)/対光反射消失/散瞳(≧4mm)/片麻痺/高血圧と徐脈)

処置:(1)気管挿管 (2)脳外科コール (3)Secondary Surveyの最初に頭部CT撮影。

 

⑤Exposure&Environmental control(脱衣と保温)

・必ず脱衣として、開放創や活動性出血を確認します。

輸液の加温や毛布等で低体温を予防します。

 

⑥FAST&XP(胸部/骨盤)

・"F"として抑えます。これらの評価なしにCTへ進んではなりません

・ABCが安定していない場合にもCTへ進んではなりません。

・診療中にvital signが変化したら、もう一度Aの評価からやり直します。

 

●コラム:重傷外傷におけるTAF3XとMAP

TAF3X:超致死的胸部外傷で、最初の1時間で死亡する可能性の高い疾患です。

-cardiac Tamponade:心タンポナーデ

-Airway obstruction:気道閉塞

-Frail chest:フレイルチェスト(2本以上の連続する肋骨が2か所以上で骨折)

-tension PTX:緊張性気胸

-open PTX:開放性気胸

-massive HTX:大量血胸

MAP:大量出血(Cの異常)の主な原因疾患です。

-Massive htx:大量血胸

-Abdominal hemorrhage:腹腔内出血

-Pelvic fracture:骨盤骨折

 

【頚椎カラーの解除基準】

f:id:p_kun:20201104201409j:plain

救急搬送された患者さんの頚椎カラーなど頚椎固定の解除基準 目指せスポーツドクター目指せスポーツドクター より画像引用

 

①正確な所見がとれない場合

・具体的には以下のような状況を指します。

-意識障害

-アルコールや薬物(睡眠薬や鎮痛薬)服用

-注意を逸らすような他部位の激痛

-その他:高齢者、乳幼児、精神疾患など

正確な所見がとれない場合は、初療で解除してはいけません

・頚椎損傷の有無が正確に判断できないため、頚椎XPや頚椎CT(MPRが推奨)を施行することになりますが、解除についてはバトンを受けた整形外科医が決めていくことになります。

・従って、初療医としては"カラーを勝手に解除しない"ということだけ覚えれば十分だと思います。

 

②正確な所見がとれる場合(=①に当てはまらない場合)

頚椎カラー継続となるとき

自覚所見/他覚所見/神経学的所見/受傷機転のいずれかに頚椎/頚髄損傷を疑う所見を認める場合は、継続となります。

・具体的には"頚部に何らかの症状がある""麻痺や感覚障害を認める""頚椎/頚髄損傷があり得る受傷機転である"場合などが想定されると思います。

・継続の判断をした場合は、やはり頚椎XPや頚椎CT(MPRが推奨)を施行します。

・これらを認めない場合は、⑵の評価に進み、解除を検討します。

 

頚椎カラー解除となるとき

・自覚所見/他覚所見/神経学的所見/受傷機転のいずれでも、頚椎/頚髄損傷を疑う所見を認めない場合は、以下(頚椎運動時痛)がないことを確認し、解除となります。

-頚椎カラーを一時的に外します。

-患者さんに頚部を左右45°にゆっくり動かしてもらいます。

-痛みがなければ(できるだけ座位で)頚部の前後屈を行ってもらいます。

-これでも痛みがなければ、解除とできます。

 

【まとめ】

・まずPrimary surveyが大前提です。

正確な評価ができない場合頚椎/頚髄損傷を疑う所見や受傷機転がある場合はネックカラーの解除はできません

これらがなく、頚椎運動時痛を認めないときのみに解除ができます

・自分自身はもっと簡単に解除してしまっていたため、以後の診療では気を付けようと思いました。