内科医キューピーのつぶやき

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むち打ち症の診療

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キューピーです。

 

交通事故の軽症例でとても多い、いわゆる"むち打ち症"についてまとめました。

 

正式な医学病名としては外傷性頚部症候群(頚椎捻挫)をまとめています。

 

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目次

 

 

【参考文献・サイト】

 

参考サイトリンク

「むち打ち症」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる

「外傷性頚部症候群」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる

今日の臨床サポート

 

むち打ち症とは】

・いわゆる"むち打ち症"は、追突や衝突などの交通事故でヘッドレストが整備されていなかった時代に首がむちのようにしなったために生じた頚部外傷の局所症状の総称です。

ヘッドレストが整備されている現代においては劇的に減少しているとされますが、未だに頻度が多いのは、この領域に対する正確な理解が為されていないためと思われます。

・正式な医学的傷病名ではないことに注意が必要で、この受傷起点では外傷性頚部症候群(頚椎捻挫)神経根症(頚椎椎間板ヘルニア/頚椎症性神経根症)脊髄損傷などの可能性があります。

・頻度は外傷性頚部症候群(頚椎捻挫)が大半であり、これについてまとめていきます。

 

【概要】

・外傷性頚部症候群(頚椎捻挫)は交通事故や転倒などの外力により発生する、様々な頚部愁訴を包含する症候群です。

・外傷後に何らかの頚部症状があり、骨折や脱臼のない頚椎軟部支持組織の損傷(筋の部分断裂や靱帯の損傷)と定義されます。

・頚部痛の大半は1か月以内に消退しますが、長期に残存して就労障害等の社会経済的問題に至る症例も少なくありません。

・女性が男性の1.5倍と多く、20-25歳に好発します。

 

【重症度分類】

・下記のGradeⅠ/Ⅱがいわゆる頚椎捻挫に該当します。

GradeⅢ以上は中心性頚髄損傷等の可能性もあり、専門医コンサルトが必須です。

筋力低下やデルマトームに沿う感覚障害を認める場合は要注意です。

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今日の臨床サポート より画像引用

 

【症状】

主症状:受傷後の頚部痛(数日後に増悪し得る)

副症状

-頭痛 -めまい -上肢のしびれ(麻痺は伴わない) -腰痛

-眼症状(霧視や眼精疲労等) -肩こり -顎関節痛

-悪心 -睡眠障害 -抑うつ症状

症状残存の危険因子:初期の疼痛や頚部圧痛/筋肉痛が強い、症状の数が多いこと。

 

【身体診察】

頚椎可動域測定(正常:前屈60°/後屈50°/左右側屈50°/左右回旋90°)

手指巧緻運動障害の有無(ペンが使えるか、ボタンがかけられるか)

四肢のMMT(特に脱力の訴えがある場合)

四肢深部腱反射と病的反射

四肢体幹の異常知覚領域の把握(デルマトームに沿わない上肢全体のしびれ感が多い)

 

【頚椎XP/頚椎MRI

頚椎XP:骨折や脱臼がないことを確認するため、必須の検査です。

頚椎MRI:脊髄損傷所見がないことを確認します。身体診察上疑わしくなければ、必ずしも撮影の必要性はないと考えます。

 

【治療】

大半が自然軽快するため、積極的な治療介入を要さないことが多いです。

2,3週間程度の安静は推奨されますが、特に慢性期は頚部を適度に動かさなければかえって症状が長期化する原因となります。

・症状の平均回復期間は1か月で、6か月を超える場合は難治例とされます。

鎮痛薬ロキソニン®錠60mg3錠分3やセレコックス®錠100mg2錠分2など。

頚椎カラー:頚部痛が強い場合や可動域制限がある場合は適応があります。受傷後3日間程度に限定した使用が推奨されます。

 

【診断書】

・警察提出用の書類として診断書を作成します。

安静、加療期間の見込みは1-2週間とするのが通例ですが、上記のように実際に症状が改善するまで、もう少し時間を要することが多いです。

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