内科医キューピーのつぶやき

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FASTの方法とエコー像

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キューピーです。

 

今回はFASTの方法をまとめます。

 

FASTは外傷患者に対して行う心嚢腔、胸腔、腹腔に出血があるかどうか確認するための超音波検査です。

 

Focused Assessment with Sonography for Traumaの略で「外傷に対する焦点を絞った超音波による評価」と訳されます。

 

2015年のZanobettiらの報告では感度75%、特異度96%と報告されています。

 

この感度の低さは、腹腔内出血を伴わない臓器損傷の存在や100ml以上の貯留がなければ検出できないという特性が影響しているようです。

 

また、元々肝硬変などで腹水のある患者でもFAST陽性となってしまうので、意外と落とし穴の多い検査となります。

 

(個人的には、vital signが安定しているならFASTしないでさっさとCTでもいいのでは?と思ってしまいます・・・。)

 

 

目次

 

 

【参考文献】

 

【プローブの当て方】

・下図のように心嚢腔→モリソン窩→右胸腔→脾臓周囲→左胸腔→ダグラス窩(男性は膀胱直腸窩)の順に見ていきます。

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FASTで外傷患者の緊急処置の必要性を判断 | 看護roo![カンゴルー] より画像引用

 

①心嚢腔

・心窩部に長軸方向にプローブをしっかりと当てて、胸骨裏面を見上げるようにプローブを走査します。

・心嚢液貯留の観察が目的なので、左半分に拍動する心臓が見えれば十分です。

・胃内に空気が貯留していると心窩部アプローチで描出困難なことも多く、その場合は深追いせずに傍胸骨左縁像(いわゆる普通の心エコーの長軸像)で観察を試みます。

 

②モリソン窩

・いわゆる肝腎境界を観察します。

・右側胸部のなるべく背面側から、肋骨の走行に平行かつ皮膚に垂直にプローブを当てます。

・肝臓と腎臓が両方見える位置を探します。

・よいウインドウを見つけたら、肋骨の影の間から覗き見るようにプローブを扇状に動かして、臓器表面をなめるように観察します。

 

③右胸腔

・モリソン窩の状態からプローブを肋骨と平行に頭側に動かして、右胸腔のEFSを観察します。

・液貯留の判断が目的なので、できるだけ背側にあてることを忘れないようにします。

・正常なら肺が空気で満たされているため、エコーが空気に反射して肺の境界がぼやけて見えます。

 

脾臓周囲

・いわゆる脾腎境界を観察します。

・モリソン窩の描出と同じことを左側で行うのですが、脾臓はかなり背面に位置するため、より背面にプローブを当てることとなります。

 

⑤左胸腔

・右胸腔と同じです。

 

ダグラス窩(男性は膀胱直腸窩)

・プローブを恥骨上縁ぎりぎりに当てて、膀胱が見えない場合は恥骨の裏側を覗き込むようにします。

・膀胱内に尿が貯留している方が後方構造を観察しやすいので、できるだけ尿道カテーテル留置前に実施します。

・膀胱直下に接しているのは、男性なら前立腺、女性なら子宮となります。

 

【正常像と異常像】

①心嚢腔

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FASTのエコー像(心嚢腔) | 看護roo![カンゴルー] より画像引用

 

②モリソン窩

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FASTのエコー像(モリソン窩) | 看護roo![カンゴルー] より画像引用

 

③右胸腔

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FASTのエコー像(右胸腔、左胸腔) | 看護roo![カンゴルー] より画像引用

 

脾臓周囲

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FASTのエコー像(脾臓周囲) | 看護roo![カンゴルー] より画像引用

 

⑤左胸腔

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FASTのエコー像(右胸腔、左胸腔) | 看護roo![カンゴルー] より画像引用

 

ダグラス窩(男性は膀胱直腸窩)

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FASTのエコー像(ダグラス窩) | 看護roo![カンゴルー] より画像引用