内科医キューピーのつぶやき

医学部首席になれた勉強法や医学情報を発信したりします。

【COVID-19】第2波の現状や弱毒化説について疫学データから考えてみた

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キューピーです。

 

コロナ弱毒化説は本当なのか?

 

まずはっきりしていることは、SARS-CoV-2が弱毒化したという医学的証拠はありません。

 

その上で、重症者数などの疫学的データを用いて何か言えることがないか考えてみました。

 

※非専門家の全くエビデンスのない意見です。一歩引いた目線で読んでいただければと思います。

 

 

目次

 

 

【コメンテーターの言葉を鵜呑みにしない】

・最近、ニュースはCOVID-19一色です。

・様々な立場の人が様々な意見を述べています。

・ここで注意点があります。今回のコロナ禍で正しいことを言い続けている人は、僕が知る限り誰一人いません

・専門家含めていません。第1波の前は感染症の専門家が楽観論を唱えていました。

・WHOはインフォデミックと称して、必要以上に怖がらないように呼びかけました。結果として予測は外れ、世界中から非難の的となってしまいました。

※その瞬間では楽観論が正しく、フェーズが移行したため悲観論が現実となったとする専門家もいますが、これは苦しい言い訳です。科学的・論理的思考では、その意見は正しいかもしれません。しかしコロナ禍においては状況の「予測」を踏まえたうえで考えを発信しなくては、その考えは全く使い物になりません。

・結局何が言いたいのかというと、コロナ禍で鵜呑みにしていい情報はかなり限られている(ほとんどないに等しい)ということです

・一流医学誌の論文ですら査読が甘いのではないか、と指摘されて議論になっている始末です。テレビのコメンテーターの意見など、まず鵜呑みにしてはいけません。

・その上で、今回はできるだけ確実性の高い情報、すなわち公表されている疫学データをもとにして、できる限りコロナ禍の現状を読み解こうと試みることにしました。

もちろん、この記事の情報も鵜呑みにしてはなりません(笑)

 

【使用するデータ】

・まず、日本全国ではなく、都内のデータとしました。

・日本全国のデータとすると、色々と考えなくてはならないことが出てきます。

・例えば沖縄。Go toキャンペーンの影響と思われますが、感染者推移が他県とは異質です。

・他にも岩手も例外的です。恐らく岩手県民は他の都道府県より遥かにきつい自粛生活を迫られていたのではないでしょうか。

・こういったことに加えて、コロナ禍では各自治体が独自の対策を取っていますので、これを全て合算して評価すると真実から離れた結論となる可能性が高いと考えました。

・専門用語を使うなら、バイアスの入る余地が大きいということです。

・都内のデータは、新規感染者数の推移重症患者数の推移陽性率の推移を参考にしました。

・以下のサイトの数値を参照しました。

stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp

・グラフは上記サイトのものを繋げて自作したものと、下記サイトから引用したものの2種類があります。

vdata.nikkei.com

 

【新規陽性者数】

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・字が小さくて申し訳ありませんが、これが東京都の新規陽性者数の推移です。

・保健所から発生届が提出された日を基準としています。

・リサーチ力不足で、新規陽性者数というのはPCR陽性者数と抗原検査陽性者数の合算なのか、PCR陽性者数のみなのか分かりませんでしたが、いずれでも解釈に変化はないと思います。

・まず絶対的な事実として、新規陽性者数の数は増えています。つまり、COVID-19と診断される患者数は第1波より多いです。

・ただし、それだけで第2波が第1波より大きいと判断することは危険です。別のデータも見ていきます。

 

【検査陽性率】

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陽性率=陽性判明数の移動平均(PCR・抗原)/検査人数の移動平均(PCR・抗原)です。

移動平均値は過去7日間のデータを元に算出します。なぜ毎日の陽性率でないのかというと、曜日によって数値がばらついてしまうからだそうです。

・陰性確認の検査の結果は含まれていません。診断のための検査の陽性率ということです。

・このグラフは非常に重要だと思っていて、第1波の陽性率の高さがものすごいことに注目したいと思います

・おおよそですが、第1波の陽性率は第2波の5-6倍です。

・勿論こんな単純計算で比較してはならないのでしょうが、試しに第1波の陽性者数を5-6倍(≒現在程度まで検査体制が拡充したと想定)してみると約1000人/日となります。

(単純計算なのでアテになりませんが)第1波の方が大きい波だった可能性も出てくるわけです

 

【重症者数】

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・人工呼吸器管理(ECMO含む)が必要な患者数です。

・統計記録が4/27より開始となっており、それ以降の数値がグラフ化されています。

第2波においても徐々に増加傾向にあることが分かります。

・ここでも特筆すべきは第1波の方が大きい波ということです。

・なお、一部報道で東京都はICU入室者で人工呼吸器管理を要していない患者を重症者数にいれていないという批判があります。

・つまり、他県ではICU入室者を重症患者数とカウントしていますが、東京都はその基準が異なり、人数を少なく見積もっているのではないかという批判です。

・個人の意見ですが、これはほぼナンセンスな批判です。肺炎増悪でICU入室となる場合、基本的には人工呼吸器を装着することが想定されます。

・つまり、ICU入室しているものの人工呼吸器を装着していない患者というのは、医学的には中等症であるものの、一般病棟での医療体制が脆弱であったり、COVID-19診療に慣れておらず、大事をとって念のためICU管理としているなどといった状況が予測されます。

・ですから医学的には人工呼吸器管理の患者数を重症者数と計上した方がむしろ妥当だと思います(そのように定義する医学研究も多い印象があります)。

※ちなみに東京都で人工呼吸器管理下にないICU患者数を足しても、+10人程度だという情報もあります。

 

【考察】

・いつものことですが、個人的な意見ですので、一歩引いた視点で、鵜呑みにしないようにご注意ください。

・さて、今回は東京都の「新規陽性者数」「検査陽性率」「重症者数」というシンプルながらも信頼性の高いデータを見てみました。

・僕の意見ですが、そもそも第2波は第1波より小さいと思います

・陽性者数の推移だけみると大きく見えますが、検査陽性率も見なくてはなりません。これを見ると、検査体制が拡充されてきたことが分かります

・そして、第1波の異常な陽性率を考えると、第1波の際は拾いきれなかった患者数が相当数いたと予測されます

・では、なぜ第2波は小さい波に収まっているのか?これは今回のデータから予測はできません。

・あくまで自分の考えを述べると、日常生活に感染対策が根付いてきたこと検査体制拡充で感染者の発見と隔離ができるようになったことが大きいと思われます。

・そして、コロナは弱毒化したのか?ここまで読んでいただけた皆さんならもうお分かりかと思います。

・「感染者が多いのに重症者は少ない!コロナが弱毒化した!」この意見がかなり安直だと分かったと思います。

・そもそも第2波の方がまだ小さい可能性がある中で、重症者数が少ないことは当然の結果を見ている可能性が十分にあるのです。

・つまり、コロナが弱毒化したと考えるのはまだまだ危険な状況です

・そして、第2波は収束に向かうのか?これも今回のデータからでは分かりません。

統計学的に高度な知識が必要だと思われるので、僕ごときでは収束の予想は全くできませんが、1つ確実に言えることがあります。

・それは、引き続き感染対策を行った上で日常生活を送りましょうということです。

・多くの専門家や政府関係者がこのことを口を酸っぱくして発信しています。1人でも多くの国民が、その意味を理解することを願います。