内科医キューピーのつぶやき

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【COVID-19】日本国内2600人のコロナ患者の中間解析-コロナはただの風邪なのか?-

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キューピーです。

 

先日、COVIREGI-JPという日本国内の約2600例のCOVID-19入院患者の中間解析のデータが公表されました。

 

今回、メディアセミナーというWeb上でも閲覧できる記者会見的な場での発表だったようで、重要な発表資料を手に入れることができませんでした・・・。

 

もしどこかで閲覧できる場所などがあったら是非教えてください。

 

そして、発表資料を手に入れることができないので、例のごとく忽那先生の記事を参考にしつつ、この記事も進めていきます。

 

news.yahoo.co.jp

 

※本記事内の画像は全て上記URLより引用してます。

 

 

目次

 

 

【はじめに】

・まず、この研究は非常に重要な研究だと思います。

・COVID-19の全貌がまだまだ掴めない状況であり、こういった疫学的研究は依然として重要性が高いと考えます。

・特に今回は「日本国内」であり、海外の研究よりも日本国民にとって当てはめやすい、身近な、非常に重要なデータになると思います。

・注意点としてこの研究は「入院症例」に限った研究であることが挙げられます。

・特に第2波は自宅やホテルでの療養も多いので、どちらかというと重症に寄っている患者のデータということになります。

・しかし、現場感覚では普通に若年者の入院症例もありますし、酸素投与を要さない入院症例(定義上は軽症例にあたります)も普通に多いので、重症に寄りすぎているとまでは考えなくてもいいと思います。

 

【概要と重症度】

①男女比

58.9%が男性でした。

・忽那先生も記載されていますが、男性の罹患率が高いというよりは男性の方が入院を要した数が多いと解釈しなければなりません。

・以上よりこのデータのみを参照した場合、男性の方が「重症化しやすい」ということが「推測」されます。

 

②入院までの日数と入院日数

入院までの日数の中央値が7日入院日数の中央値が15日でした。

・忽那先生は、容体が悪化するタイミングが発症から7日程度経ってからということや以前はPCRを2回連続で陰性確認しなければ退院できなかったということとともに考察をしています。

・個人的には、この中央値については単にCOVID-19の医学的側面よりも病床数などの医療体制の側面の影響が大きいと思いました。

・従って、この数値については現時点ではあまり注目しなくてもいいと思いました

 

③重症度

軽症(酸素投与必要なし)が62%中等症(酸素投与必要あり)が30%重症(人工呼吸管理やECMOを要する)が9%でした。

・先に述べたように入院症例を対象としているので、全患者を対象にした場合と比べて中等症や重症の割合が高いことになります。

この数値もこれだけでは何か言うことは難しいと思いました

 

【重症化因子】

・今回、重症化因子の詳細な解析はされていません

・忽那先生は、患者全体に占める割合と重症者に占める割合を比較することで重症化因子の推測を試みています

・それが以下の画像で示されています。

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・まとめると男性高齢喫煙、持病では末梢動脈疾患COPD慢性肺疾患軽度糖尿病脳血管障害高血圧脂質異常症肥満が重症化のリスク因子となっている可能性が示唆されています。

・ただし、今回は注意が必要です。あくまで、患者全体に占める割合と重症者に占める割合を比較しただけなのです。統計学的に何か処理を行ったわけではありません

例えば忽那先生も記事の中で指摘していますが、男性と喫煙は交絡している可能性があります。一般の方にはなじみがないと思うのでどういうことか、考えてみましょう。

・男性は喫煙者の割合が多いです。もし、喫煙が真の重症化因子だとした場合、今回男性の重症例が多かったのは単に喫煙者の割合が女性よりも多いから、という可能性もあります。

→この場合、男性は真の重症化因子ではないのに見かけ上重症化因子のように捉えられてしまいます。この時の男性と喫煙は交絡していると表現します。

・このように医療統計は数値をそのまま解釈しない慎重さが必要となります。

・今回は重症化因子の特定のための解析はなされていないので、重症化因子を断定することができない点には注意が必要です

・ただ、今回重症化因子となり得ると推測された男性、高齢、喫煙、持病の末梢動脈疾患、COPD、慢性肺疾患、軽度糖尿病、脳血管障害、高血圧、脂質異常症、肥満、癌と関係がある方は、より一層感染に注意するべきだとは思います。

※これについては個人の意見となってしまいます。何度も言うように断定はできないです。ただ、他の先行研究できちんと解析がなされた重症化因子とほとんど重複しているように思います。

 

【重症例の年齢比】

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高齢者に重症例が多いということで、忽那先生により赤く囲まれています。

・80代以上の重症例が少ないのは、人工呼吸器をつけないで欲しい意思表示が関係していると忽那先生は推測しています。

・僕も同じ意見で、実際の現場でも80代以上の入院患者さんは心臓マッサージや人工呼吸器をつけない意思表示をされる方が多いです(DNARと言います)。

・それから僕個人の印象ですが、20代の重症患者もちゃんといるんだな、と思いました。少なくとも60人の20代の患者が人工呼吸器やECMOを使用したことになります。

・当然この研究は患者の一部しか参加していませんので、実数はもっと多いことになります。

・少ないと思う方もいるかもしれないですが、僕の印象としてはやはり怖いなと思いました。医療崩壊が起きてしまった場合、このあたりは大体亡くなる人たちなわけです。

 

【致死率】

致死率は7.5%でした。

・忽那先生は諸外国より低い理由について考察しています。が、まだまだ詳細な比較は難しそうです。

・今回は、日本人の入院患者の7.5%が死亡するという事実を知っておくのみにとどめることとします。

 

【コロナはただの風邪なのか?】

・ここからはこれまでのように「事実」ではなく「僕の異見」を述べます。

・先日クラスターデモという名のもとに、マスクをつけないで集会、山手線乗車などを試みた集団が話題になりました。

・彼らとしては「コロナはただの風邪」であり、その実態はマスメディアなどが作り出した虚像に過ぎないとのことです。

・よく見ると、しっかりと様々な情報を得たうえで自分なりに考え、そのような結論を導き出しているようです。

・自分の頭で考え、そう思うのであれば僕は頭ごなしに否定するつもりはありません。特にコロナについては情報をしっかり吟味する姿勢が重要で、何でもかんでも報道を率直に受け取ってはなりません。

・その最たるものが「うがい薬騒動」であり、あのような情報に扇動されてしまうのは、間違った情報の受け取り方をしていると言わざるを得ません。

・ここまで前置きで、結局コロナはただの風邪なのか?という話に戻ります。

・風邪は医学用語で(ウイルス性)急性上気道炎と呼びます。

僕は少なくともコロナはかぜ症候群(急性上気道炎)より遥かに怖いと思います

・致死率が明らかに高い点と、(個人的な見解ですが)血管への親和性が高い点が怖く感じます。

・それと僕はまだ、急性上気道炎で亡くなった方をみたことがありません。

・ですので風邪=急性上気道炎とするなら、コロナは風邪よりも遥かに怖い疾患であると言えるでしょう。これは医学的には99%間違いないと思います。

 

【記事の要点まとめ】

・男性、高齢、喫煙、持病の末梢動脈疾患、COPD、慢性肺疾患、軽度糖尿病、脳血管障害、高血圧、脂質異常症、肥満、癌は、日本人でも重症化因子となる可能性があるが、まだ推測の段階である。

・20代でも人工呼吸器やECMOを必要とする例がある。

・日本では入院した場合、7.5%が死亡する。

・COVID-19といわゆるかぜ症候群(急性上気道炎)はレベルの異なる疾患である。ただしこれは個人の意見です。