内科医キューピーのつぶやき

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腹部CTの読み方(肝胆膵、脾臓、副腎、腎臓、泌尿生殖器)

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キューピーです。

 

当直や外来でとりあえず腹部CT!となる場面は多々あります。

 

しかし、撮ってみたもののよく分からない、見落としがないか気になる、というのが本音だと思います。

 

というわけで、今回は腹部骨盤CTの読影手順をまとめてみました。

 

参考画像などは掲載していないので、是非参考文献(とてもオススメの本です)を購入のうえ勉強してみてください。

 

 

目次

 

 

【参考文献】

 

【肝臓】

①基本事項

・肝臓を下から観察すると、S1から7までが反時計回りに並んでいます。

※S8はS5,6の上にあるので尾側からはみえません。

・これらは門脈の走行で分けられ、各亜区域の中央を門脈が走行し、区域の境界には肝静脈が走行します。

亜区域の同定の際は以下の事項に注意します。

-S2と3の境界の目安は左肝静脈です。

-S4と外側区(S2,3)の境界は肝鎌状間膜、門脈臍部です。

-S4と右葉の境界の目安はCantlie線です(胆嚢窩や中肝静脈含む)。

-S7と8の境界の目安は右肝静脈主幹部です。

・S5と6を区別したい場合は門脈の走行を追跡する必要があります。

・以下に門脈の同定法を示しますが、応用レベルです。P数字=S数字です。

-門脈本幹は肝門部で左枝と右枝に分かれます(1次分枝)。

-左枝は肝鎌状間膜の部分を腹側に走行し、門脈臍部(2次分枝)を形成します。

-臍部からP2、P3、P4が分枝するので、これを同定します。

-右枝は前区域枝と後区域枝(2次分枝)に分かれます。

-前区域枝から頭側にP8、尾側にP5が分枝するので、これを同定します。

-後区域枝から頭側にP7、尾側にP6が分枝するので、これを同定します。

尾状葉:CTで判別困難です。少なくとも門脈右枝の前後区域枝分岐部までは尾状葉と思われますが、やはり同定は難しいです。

 

②肝内胆管拡張

内壁と内壁の距離が2mm以上で拡張とします。

・腫瘍や結石などの閉塞機転を念頭に読影します。

・胆管炎でも拡張が見られやすく、その場合胆管壁の造影効果が目立ちます。

・胆摘後など、閉塞機転がなくても肝内胆管の軽度拡張が見られる場合もよくあります。

・胆管泣き別れ(肝門部閉塞による末梢側の拡張で左右肝管の交通が確認できない)は、肝門部胆管癌などの悪性腫瘍を強く示唆する所見です。

 

③Peri−portal−collar 

・胆管拡張がないのにもかかわらず、門脈周囲に沿ってみられる帯状の低吸収域です。

胆管拡張は門脈の片側に観察されますが、Peri−portal−collarは門脈の全周性に低吸収を示すことが特徴です。

肝炎、胆管炎、うっ血肝などでみられ、以下は随伴所見です。

-肝炎:肝実質の濃度低下、胆嚢壁浮腫性肥厚。

-胆管炎:胆管拡張、胆管壁造影効果。

-うっ血肝:胆嚢壁浮腫性肥厚、右心系拡大や心嚢液貯留。

 

④胆道気腫&門脈内ガス

胆道気腫

-胆道内に空気が見られます。

-肝門部寄りに見られ、辺縁は丸いです。

-内視鏡的乳頭切開術後や胆管空腸吻合術後などに出現します。

門脈内ガス

-門脈内に空気が見られます。

-肝臓腹側辺縁寄りに見られ、辺縁は鋭く尖っています。

-特発性のこともありますが、腸管壊死に伴うこともあり注意を要する所見です。

※胆汁は肝門部側へ、門脈は肝臓辺縁側へ流れると考えると場所を覚えやすいです。

 

⑤肝実質の濃度低下

・原因としては脂肪肝を考えます。

・肝内の脈管との濃度差で判断します。

正常な肝臓は50−70HUであり、門脈や肝静脈は40±5HUです。すなわち肝臓の方が高吸収域を示します。

・つまり、肝臓と脈管のコントラストがない場合は軽度脂肪肝、肝実質が脈管より低吸収を示す場合は中等度以上の脂肪肝を考えます。

・また、脾臓よりも低吸収域(CT値を比較するとよいです)の場合も脂肪肝を考えます。

・もっと簡潔に判断するなら、肝臓のCT値を測定し50HU以下の場合は脂肪肝と考えてもよいと思います。

 

⑥肝腫大

頭尾方向に≧15.5cm右葉下極が右腎下極より尾側に達している、肝辺縁が丸く変形している場合などに疑います。

※ただし、年齢や体格およびその他の病態も考慮し、総合的に判断します。

・頭尾方向の距離の計測は、肝上縁と下縁のスライスの高さをそれぞれ確認して、その差を計算すると簡単です。

・原因は急性肝炎、悪性腫瘍のびまん性肝浸潤、脂肪肝やアミロイドーシスなどの沈着症、うっ血肝、多血症や骨髄線維症など多岐にわたります。

 

⑦尾状葉と外側区域の腫大、肝縁の鈍化、肝表面の凹凸

尾状葉と外側区域の腫大および肝縁の鈍化がある場合は慢性肝障害を疑います。

・上記に加えて、肝表面の凹凸がある場合は肝硬変を疑います。

※肝表面の凹凸は外側区域の表面で評価します。

  

⑧肝臓の腫瘤性病変

肝嚢胞

・単純CTで10HU程度の水濃度を示す境界明瞭な腫瘤です。

・造影CTではどのタイミングでも造影増強効果を示しません

・小さな嚢胞の場合、partial  volume effectで境界不明瞭となることがあります。

→悪性腫瘍の術前であれば、超音波検査を考慮すべきとされます。

※ partial  volume effect:部分容積効果。特に厚いスライスの中でスライスの一部分に異常影があった場合、CT値はスライス全体の平均値となるため、境界不明瞭となったり濃度が薄く描出されたりします。

 

海綿状血管腫

・単純CTで内部がIVC内と同じような濃度を示します(内部は血液が貯留するため)。

・造影CTでは早期相で辺縁に点状,地図状,綿花様濃染を示し、遅延相でやはりIVC同様の高吸収域を示します。

 

肝細胞癌

・造影CTで早期相に腫瘍内部のモザイク状濃染遅延相に造影剤の洗い出しwashoutを認めることが特徴です。

・また、被膜様構造を有することが多いです。

高分化HCC:早期相の造影効果は弱く、遅延相で淡い増強効果を示すことが多いです。脂肪変性を含むことが多いとされます。

 

転移性肝腫瘍

・一般的に単純CTで低吸収造影CTの遅延相でリング状の淡い造影効果を示します。

・単純CTで明瞭でも、造影CTで不明瞭となることがあり、注意を要します。

 

【胆嚢・胆管】

①基本事項

胆嚢の底部の頂点から胆嚢管移行部までの長軸を三等分し、底部,体部,頚部とします。

肝外胆管は左右肝管合流部下縁から十二指腸壁に貫入するまでを二等分し、肝側を近位胆管、十二指腸側を遠位胆管と呼びます。

・なお、その二等分線は原則として、胆嚢管合流部とします。

・単純CTでは、胆嚢や胆管内部は水に近い濃度を呈します。

 

②胆嚢腫大

・正常では空腹時の胆嚢は、長径7−10cmで最も広い部位の横径は2.5cm程度です。

・食後は収縮します。

・胆嚢腫大の定義は特になく、全体に緊満感があるかどうかで判断します

※横径5cm以上とする場合もありますが、緊満感を重視します。

 

③胆嚢内の結節性高吸収域・低吸収域

・胆嚢結石はコレステロール結石とビリルビンカルシウム結石の頻度が高いです。

ビリルビンカルシウム結石は高吸収域を示すことが多く、CTで指摘しやすいです。

コレステロール結石は脂肪分を含み低吸収域を示すことが多く、CTで指摘困難のことも多いです。

→CTで胆石が指摘できなくても、エコーやMRCPで確認する必要があります

 

④胆嚢内の結節性の造影増強効果

胆嚢ポリープを疑う所見です。

・1cm以下は良性病変が多く、経過観察とします。

1cm以上や広基性のものは癌を含む可能性があり、精査を考慮します。

 

⑤胆嚢壁肥厚

・胆嚢壁の厚さが3mm以上で壁肥厚と考えます。

・腫瘍、炎症、浮腫性など様々な病態があります。以下に示します。

 

早期胆嚢癌

 ・広基性1cm以上増大傾向は胆嚢癌を示唆します。

比較的強い造影増強効果を示します。

 

胆嚢腺筋腫症

胆嚢壁肥厚にRASと思われる小さな低吸収域を伴う場合に疑います。

・病変の広がりにより底部限局型、分節型、びまん型に分けられます。

 

胆嚢炎

胆嚢腫大と緊満胆嚢壁肥厚を特徴とします。

・胆嚢周囲の脂肪織濃度上昇も見られ得ますが、判断が難しいことが多いです。

・胆嚢壁が壊死すると、一部増強効果が見られなくなり、穿孔をきたすこともあります。

 

⑥総胆管拡張

内壁と内壁の距離が10mm以上を拡張とします。

※正常は8mm以下で、高齢者や胆嚢摘出後は生理的に軽度拡張します。

 

胆管癌

・総胆管拡張がある場合、Vater乳頭部方向へ胆管を追跡し、途絶する部分を確かめます。

・その際に全周性の壁肥厚がある場合は胆管癌を疑います。造影CTでは増強効果を伴うことが多いです。

・ただし全周性の壁肥厚でもIgG4関連疾患や膵癌の胆管浸潤の場合もあり、確定診断には病理的アプローチを要します。

 

総胆管結石

・総胆管拡張の下端に結節状の高吸収域を認めたら、まず総胆管結石と考えます。

CT陰性結石を忘れてはいけません。次項に記します。

 

閉塞機転のない胆管拡張

胆摘後などでは、閉塞機転がない場合も生理的拡張をみることがあります。

・しかしCT陰性結石の可能性もあり、臨床所見などから疑う場合はエコー、MRCP、ERCPなどを検討します。

・稀に先天性胆管拡張症の場合もあります。

 

膵臓

①基本事項

・後腹膜腔の前腎傍腔に存在します。

※前腎傍腔:後部壁側腹膜より背側、前腎筋膜より腹側の腔。上下行結腸も含みます。

・上腸間膜動静脈より背部に突出する部分は鉤状突起(鉤部)と呼ばれます。

・左右方向には頭部(鉤部含む)、体部、尾部に分かれます。

門脈左縁−大動脈左縁に当たる部分を体部それより右側を頭部左側を尾部とします。

大きさ:年齢(加齢性萎縮)、性別、体格などで個人差が大きく、計測値で判断することは難しいです。過去画像との比較は有用です。

※前後径で頭部は3cm、体部は2.5cm、尾部は2cmが上限との報告もあります。

主膵管径:頭部で3.5mm、体部で2.5mm、尾部で1.5mmが正常上限とされます。

 

②主膵管拡張と途絶

膵癌などの腫瘍性病変を示唆する所見です。途絶より末梢側では膵実質の萎縮をみることが多いです。

ダイナミック造影が推奨され、早期相から遅延相にかけて徐々に増強効果が強くなれば、膵癌らしいと言えます。

・早期相では膵実質は強い増強効果を示すので、膵癌と膵実質のコントラストが明瞭になります。

・一方で遅延相では膵癌の増強効果が強まり、膵実質の増強効果が弱まるためコントラストが不明瞭化します。

 

③膵腫大と周囲脂肪織濃度上昇、膵実質造影不良域

・いずれも急性膵炎を示唆する所見です。

・急性膵炎では発症後24時間、48時間、7日時点でのCTフォローも推奨されています。

48時間時点までの造影不良域の有無で以下の2つに大別されます。

 

間質性浮腫性膵炎

・膵実質に造影不良域を認めない膵炎です。

急性膵周囲液体貯留:発症4週以内の膵周囲の液体貯留を言います。4週以降は膵仮性嚢胞と言われますが、間質性浮腫性膵炎はほとんどが4週以内に治癒します。

 

壊死性膵炎

・膵実質に造影不良域を認める膵炎です。

被包化壊死:発症4週以降の膵周囲の壊死物質貯留のことです(4週以内は急性壊死性貯留と言われます)。単純CTでは分葉状の淡い高吸収域、造影CTでは辺縁被膜の造影効果が特徴です。

 

急性膵炎のCT grade

炎症の膵外進展度:前腎傍腔−0点、結腸間膜根部−1点、腎下極以遠−2点

※結腸間膜根部は分かりにくいですが、中結腸静脈がSMVに流入する部位周辺と考えると同定できます。

膵造影不良域:各区域限局or膵周辺のみ−0点、2つの区域にかかる−1点、2つの区域全体以上−2点

※区域は頭部、体部、尾部のことを指します。

・合計スコア:1点以下−Grade1、2点−Grade2、3点以上−Grade3

 

④びまん性の石灰化と膵管内結石(膵石)、主膵管の不規則なびまん性拡張

いずれも慢性膵炎を示唆する所見です。これらに加えて膵実質の萎縮がみられやすいです

・急性膵炎とは対照的に、膵仮性嚢胞の合併頻度が高いです。

※慢性膵炎では炎症が膵全体に起こります。そのため膵臓の一部の少数の微小な石灰化のみで慢性膵炎と判断してはいけません。同様に動脈硬化性の血管壁石灰化(特に脾動脈)とも紛らわしく、注意を要します

 

脾臓

①基本事項

脾臓は複数の間膜を有しますが、特に脾腎間膜と胃脾間膜は腫瘤や炎症の波及経路となりやすく、重要です。

脾腎間膜:脾門部と左腎の間に存在し、内部を脾動静脈が走行します。

胃脾間膜:胃と脾臓の間に存在し、内部を短胃動静脈が走行します。

 

②脾腫

頭尾側方向に10cm以上で脾腫とします。

・水平断で脾上縁と下縁のスライスの高さを確認し、その差で測定します。

脾臓はXYZ軸のいずれの方向にも傾いているため、冠状断や矢状断でも正確な距離を測定できません。

・一応、膵臓同様に個人差があり、若年者では10cm以上でも正常、高齢者では10cm未満でも分厚い形態から腫大とすることもあります。

※非専門医にはそこまでの判断の必要はないと思います。

 

③造影早期のモアレ像(正常所見)

・ダイナミックCTの早期相で脾臓は不均一に造影されます

・この所見をモアレ像と呼びますが、異常な所見ではありません。

 

【副腎】

①基本事項

・後腹膜の最も頭側に位置し、逆Y字型の構造として描出されます。

・覚えなくていい値ですが、長径5cm、横径2−3cm、厚み5mm程度です。

 

②副腎の腫瘍性病変

・副腎腫瘍を見つけたら、腫瘍内部のCT値を測定します。

−10HU程度の脂肪濃度を含む場合は腺腫を疑います

ステロイドホルモンを含む=わずかに脂肪濃度を含むと覚えます。

・腫瘍内部に脂肪濃度が同定できない場合、MRIを施行します。

→それでも脂肪濃度が指摘できない場合は褐色細胞腫や副腎癌を考慮します。

※なお褐色細胞腫を疑う場合、ヨード造影剤は相対禁忌なので、dynamicMRI施行を考慮します。

 

③副腎の腫大

・「副腎の形態を保ちつつ」腫大する場合、過形成を考えます。

 

【腎臓】

①基本事項

・腎上極−下極までの大きさは10−12cm程度で、左腎の方がやや大きいとされます。

・しかしCTで腎腫大を判断することは難しく、前回画像との比較において腫大傾向がみられたら、そう判断してよいとされます。

 

②腎の石灰化濃度

腎結石の他に腎石灰化腎動脈壁石灰化が鑑別に挙がります。

・結石はあくまで腎杯腎盂、尿管、膀胱内に存在するものであって、腎実質や動脈壁の石灰化とは区別します。

 

③腎腫瘤性病変

・悪性腫瘍では腎細胞癌が最多で、良性腫瘍では血管筋脂肪腫が多いです。

 

腎の円形腫瘤(水濃度)

・境界明瞭で、内部が均一な水濃度(10HU程度)の場合には、腎嚢胞を考えます。

・造影CTでは内部に増強効果がみられません。

 

腎の円形腫瘤(淡い高吸収+増強効果なし)

・腎嚢胞の内部に出血をきたすことがあり、出血性嚢胞と言います。

・内部が30−50HUと淡い高吸収を示し、造影CTで内部に増強効果を認めません。

 

腎腫瘤(早期濃染・washout)

腎細胞癌は単純CTで腎実質よりもやや低吸収で、造影CTでは早期濃染・washoutを示すのが典型的です。

・しかし組織型により、遷延性の淡い増強効果を示したり、微細な脂肪や骨濃度を含むなど多彩な所見を呈することが知られています。

 

腎腫瘤(内部に粗大な脂肪濃度)

腎血管筋脂肪腫は内部に粗大な脂肪濃度を含むことが多く、造影CTでは内部に増強効果を有する充実成分を伴うことが多いです。

 

④腎実質の造影不良域

腎の軽度腫大・楔状の造影不良域(炎症)

急性腎盂腎炎を疑う所見です。画像上の鑑別は次項の腎梗塞がありますが、画像ではなく臨床的に鑑別します

・また、腎周囲腔の脂肪濃度上昇がみられることが多いですが、この所見は様々な原因で起こり、臨床的に疑わしくなければこの所見のみで腎盂腎炎は疑いません。

・急性腎盂腎炎自体も臨床的に診断する疾患ですが、CTは背景にある尿路奇形や尿路結石などの検索において有用と考えられます。

 

楔状の造影不良域(梗塞)

腎梗塞を疑います。腎盂腎炎との鑑別は前項記載の通りです。

・他の画像所見として、腎被膜動脈は閉塞しないため被膜のみ増強効果を呈するcortical  rim signがあります。特異度は高いですが、認めない症例も多いです。

 

⑤腎実質萎縮と辺縁の変形

慢性腎盂腎炎や陳旧性腎梗塞を疑う所見です。

・辺縁の変形としては、例えば実質の限局な菲薄化などがみられます。

 

腎盂拡張

水腎症と考えるのは、「腎杯」「腎盂」とも拡張した場合です。

腎盂のみの拡張では水腎症としません。

 

腎盂のみの拡張

腎外腎盂と判断します。生理的に腎盂が腎の外側に突出してしまっている状態を指します。

・病的意義は全くありません。

 

腎盂周囲の水濃度

・腎嚢胞のうち腎盂周囲に存在するものを腎盂嚢胞と呼びます。

・単純CTでは水腎症と紛らわしいですが、造影CTで造影剤が流入しない点において鑑別することができます。

※まれに腎盂を圧迫し水腎症をきたすこともあります。

 

【尿管】

①基本事項

・上部、中部、下部に分けられます。中部は正面から見て腸骨と重なる部位を指し、これより上流が上部尿管、下流が下部尿管となります。

・走行としては、腸腰筋の内側前方を緩やかに蛇行しながら下行し、腸骨動脈を乗り越えると骨盤腔内を後方へ走行し、膀胱後壁のレベルで前方へ走行して膀胱背側へ流入します。

・なお、下部尿管に関しては膀胱から逆行性に追跡すると全貌を把握しやすいです。

 

②尿管の拡張と途絶所見

・胆管と同様、拡張尿管を見つけたら下流に追跡します。

・そこで途絶所見を見つけたら、以下の病態を考えます。

 

尿管内の石灰化

・閉塞機転で尿管内に石灰化を認めたら尿管結石と考えます。

腎盂尿管移行部、総腸骨動脈交叉部、尿管膀胱移行部といった生理的狭窄部の3か所で閉塞機転となることが多いです。

 

尿管内の増強効果を有する軟部濃度

・第一に尿管癌を考えます。

・稀ではありますがアミロイドーシスやその他の腫瘍も鑑別にはなります。

 

【膀胱】

①基本事項

・恥骨結合の後側に存在します。なお、恥骨結合と膀胱前面の間は、膀胱前腔(レチウス腔)と呼ばれます。

膀胱壁は拡張時に薄くなり、排尿後は虚脱し全体的に肥厚します

 

②膀胱壁から内腔に突出する壁肥厚

膀胱癌を疑う所見です。

・通常は造影増強効果を伴います。

 

③膀胱壁のびまん性肥厚

慢性膀胱炎を疑います。排尿後の生理的肥厚とは区別するようにします(生理的肥厚は、肥厚の程度が小さい)。

原因としては放射線治療、BCG膀胱内注入療法後などが挙げられます。

 

前立腺

①基本事項

・男子の膀胱頚部の下方で尿道を取り囲むように存在します。

・なお、精嚢は前立腺の上方に接して、膀胱の後下方に存在します。

※精嚢の存在を忘れないようにします。

 

前立腺腫大

・腫大の目安は体積が30mL以上とされています。

・簡便な式として、左右直径×前後直径×上下直径/2で求めることができます。

※いずれの径も単位はcmです。

・大雑把な目安として、参考文献の著者は左右径5cm以上で腫大を考慮するようにしているそうです。

・腫大の他、前立腺内部の石灰化もしばしば見られる所見ですが、病的意義は乏しいです

・なおBPHは症状を重視するため、画像所見のみで診断できません。そのため、肥大ではなく腫大と記載する方が無難です

 

【子宮・卵巣・腟】

①基本事項

・子宮は腹膜外臓器で底部、体部、頚部に分かれます。大きさは年齢により様々で、筋層は比較的強い造影増強効果を有します。

・卵巣は子宮の両脇に1つずつ存在します。

・基本的に子宮や卵巣の異常はCTでは評価が難しいことが多く、疑ったら婦人科コンサルトやMRI撮影を検討します

 

②子宮の腫瘤性病変

頻度からは子宮筋腫の可能性が最も高いです

・しかし、CTのみでは質的診断は困難です。

 

③卵巣の嚢胞性腫瘤

・閉経前の5cm以下で、内部に脂肪濃度や増強効果を有する充実成分を認めない場合は、機能性嚢胞を第一に考えます。

5cm以上では漿液性/粘液性嚢胞腺腫、内膜症性嚢胞などが鑑別となりますし、良性腫瘍でも茎捻転のリスクが高まりますので必ず婦人科にコンサルトします。

・内部に脂肪濃度を含む場合は、成熟嚢胞性奇形種を考えます。

・内部に増強効果を有する充実成分を認める場合は、悪性の可能性を考えます。

 

④卵巣腫瘍茎捻転

卵巣腫瘍と腫瘍から突出する索状−結節状構造(捻転茎)が特徴的です。

・周囲静脈の怒張や子宮の病側偏位もみられることがあります。

・5cm以上の良性病変が捻転しやすく、右卵巣に多く見られます。

※左にはS状結腸があるため。

 

⑤卵巣出血

単純CTでは、出血により卵巣内が不均一に高吸収域となります。

造影CTでは、(黄体嚢胞出血の場合)嚢胞壁が厚く濃染されます。

・臨床的に黄体中期(最終月経から3週間後)の性交後の急性腹症で発症しやすいです。

・基本的には保存的加療ですが、活動性出血が疑われる場合は造影CTで確認します。