内科医キューピーのつぶやき

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主訴:血を吐いた(喀血)の初期対応

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キューピーです。

 

今回は喀血の初期対応をまとめます。

 

最近この手の記事ばかりになってますね(笑)

 

※この記事の内容が原因で生じたいかなる不利益にも責任は負いかねます。

 

 

目次

 

 

【参考文献】

 

【鑑別疾患】

・BATTLE CAAAMPというゴロがあるようです。

-Bronchitis,Bronchiectasis:気管支炎、気管支拡張症

-Aspergilloma:アスペルギローマ

-Tumor:肺癌

-Tuberculosis:結核

-Lung abscess:肺膿瘍

-Emboli:肺塞栓

-Coagulopathy:凝固異常

-Autoimmune disorders:血管炎

-AVM:肺動静脈奇形

-Alveolar hemorrhage:肺胞出血

-Mitral stenosis:MS(心不全)

-Pneumonia:肺炎

 

【初期対応】

①ABC・vital確認

・本当に喀血の場合、ABの異常を考慮します。

・もちろん出血量が多い場合はCの異常も出現し得ます。

・特に酸素化が保てない場合やショックバイタルの場合、挿管を躊躇しません。

・SpO2低下がある場合、上記の考慮とともに動脈血液ガス分析を行います。

 

②喀血か吐血か鼻出血・口腔内出血か判断+大量喀血なら緊急対応

・①が落ち着いたらまず、鼻出血や口腔内出血がないか確認します。

・吐血との鑑別には以下の所見が有用とされています。

-咳嗽とともに血が出る。

-鮮血である(アルカリ性)。

-泡沫状で凝固しにくい。

-嘔気や嘔吐、食物残渣を伴わない(伴ったら吐血を考慮)。

-発熱を伴う。

→まとめると、咳嗽とともに泡沫状で凝固しにくい鮮血を喀出する傾向にあります。

※なお、出血源の90%が気管支動脈由来と言われており、動脈性のため出血の勢いが強いことも特徴です。

・大量喀血の定義はありませんが、100ml/day(コップ1/2杯程度)以上ならば、早めに以下の対応を考慮します。

 

●大量喀血と判断したとき

(・ABCとvital signは既に確認していることを前提とします。)

・人を集めます。気管支動脈塞栓術(BAE)を考慮し、IVR科や呼吸器科にコールします。

・モニターを装着します。

・患側が分かる場合、患側を下向きにした側臥位とします。

・ルート採血(下記参照)を行い、ルートキープします。

・ABCの異常には適宜対応していきます。

 

③採血+AMPLE聴取・身体診察+胸部XP

・上記の対応を終えたら、まずは肺塞栓と心不全を除外するように意識しつつ、診察や検査を開始します。

・vitalの安定具合などにもよりますが、ERでは効率よい診療のため早めに採血を行うべきと考えます。

・ルート採血:血算(貧血)、生化学、凝固(易出血性・PE)は必ず採取し、可能であればβ-Dグルカン、抗核抗体、ANCAも提出します。心不全を疑う場合はBNPも提出します。

・AMPLEのポイント

-M:抗血小板薬や抗凝固薬により、出血が助長され得ます。

-P:鑑別疾患にあるような疾患の有無に注意します。

・最低限見ておくべき身体所見

-頭頸部:眼瞼結膜貧血、頸静脈怒張、口腔内(鼻出血や口腔内出血確認)。

-胸部:心音、呼吸音。

-四肢:下腿浮腫(DVTや心不全の評価)。

・胸部XP:2方向で撮影します。腫瘤、空洞、浸潤影などを確認します。

 

④喀痰検査+胸部CT

・喀痰検査:細胞診、一般細菌/抗酸菌/真菌塗抹・培養をみます。

・胸部CT:喀血を認める場合は積極的に考慮する検査です。大量喀血の場合やPEを否定できない場合は、造影CTの撮影を考慮します。

 

⑤止血剤処方+帰宅の判断

・止血剤処方例:アドナ®30mg 3錠3×+トランサミン®250mg 3Cp3×を止血が得られるまで。

・帰宅の判断:少量(ティッシュペーパーに付着する程度)の場合や喀血ではなく血痰(痰に血が混じる)の場合は、翌日の呼吸器外来受診を指示のうえ帰宅が可能とされます。

・上記以外の場合は、入院対応とするのが無難だと思います。