内科医キューピーのつぶやき

医学部首席になれた勉強法や医学情報を発信したりします。

ショックの初期対応

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●この記事は2021/1/17に内容更新しました。

 

キューピーです。

  

今回はショックを見つけてしまった時の対応です。

 

様々な方法がありそうですが、自分の型を持っておくと慌てずに対応できると思います。

 

※この記事の内容が原因で生じたいかなる不利益にも責任は負いかねます。

 

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目次

 

 

【参考文献】

 

【ショックの認知】

・今回は初期対応を中心にまとめますが、まずはショックと判断するポイントを考えます。

・ショックの定義は"臓器低灌流状態で、細胞機能障害および細胞死を伴うもの"です。

→すなわち、ショック≠血圧低下です。

・以下のような状況で"ショックの認知"を早期に行います。

‐SI(Shock index)=sBP/HR≧1

-起立時HR増加≧30/分(安静時頻脈がなくてもショックの前兆として認知できる)

-血圧低下はないが、頻脈・頻呼吸・四肢冷感・冷汗あり

-不穏(身の置き所のない様子)

‐顔面蒼白・網状皮斑(写真)

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膠原病の症状・皮膚疾患(紅斑)

 

【初期対応】

⓪人を集める

・1人でモニター装着やルート確保や検査オーダーなどを行うのは大変です。

マンパワーが何より重要です。役割分担をして診療に臨みます。

 

①ABC+vital signs確認

・ショックはCの異常なので、ABの異常があればそれを優先します。

A:会話可能か、嗄声などはないか。

→用手的気道確保、吸引、エアウェイ、気管挿管などで対応します。

B:呼吸数異常、呼吸音左右差はないか。

緊張性気胸の有無が最重要です。頸静脈怒張も確認します。

-頸静脈怒張:心原性と心外閉塞/拘束性で認める重要な所見です。

呼吸音:左右いずれかで減弱/消失があれば緊張性気胸を疑います。cracklesは心原性や肺炎(敗血症性ショック)などの補助的な所見となります。

 

②酸素+ルート+モニター+血ガス(さるもガス)

・まずは"さるもガス"です。

酸素投与:10L/分の投与を開始します。ABGの結果を見つつ、適宜調整します。

ルート確保:できるだけ太いGで、できるだけ2か所確保します。同時に採血もできるとベターです(血算、生化学、凝固、血液型クロスマッチ、高感度トロポニンなど)。

→確保後、リンゲル液(乳酸でも酢酸でも)を全開で投与開始します。

※仮に心原性ショックでも、数百mL程度なら大きく病態を悪化させないとされます。

モニター装着:心電図、SpO2、血圧計を装着します。

動脈血液ガス分析:高K血症、貧血、PaCO2など病態が推測できます。

※更にpH乳酸値はショックの存在診断や治療効果判定(乳酸値)に有用です。

 

④原因検索(ちょうしんき)

・まず心原性(AMIや不整脈)心外閉塞/拘束性(心タンポ/PE/緊張性気胸)の否定をします。

※緊張性気胸はBの評価でrule outできていることが望ましいと思います。

いずれも細胞外液投与のみで改善が望めず、致命的となり得るためです。

・また、心不全による心原性ショックだと持続的な急速輸液は望ましくありません

・検査は"ちょうしんき"です。

心エコー:visualEF、壁運動、心嚢液、Dshape、IVCなどを確認します。

※IVC怒張は頸静脈怒張と同じ意義があります。

-腹部エコー:FAST、下行大動脈瘤、(sepsis疑いなら)熱源精査などを行います。

※熱源精査としては胆嚢/胆管や水腎症(腎盂腎炎)などが重要です。

心電図ACS不整脈(特にモニターで分かりにくい徐脈性)を確認します。

(ポータブル)胸部XP心不全や大動脈解離(縦隔拡大)の診断の補助となります。

※迅速に撮影できるなら緊張性気胸の確定にも用い得ます。

・消化管出血に伴うショックを否定できない場合は直腸診も行います。

・病歴や発熱などから敗血症を疑う場合

→培養採取と抗菌薬開始を急ぎます(詳細は後述)。

・病歴や皮疹などからアナフィラキシーを疑う場合

→ボスミン®0.3mgを大腿近位1/3前外側に筋注します(詳細は過去記事参照)。

徐脈+ショックの場合"VF AED ON"で鑑別を絞ることができます。

‐Vasogagal reflex:迷走神経反射

‐Freezing:低体温

-AMI/Adam-stokes/Acidosis:右室・下壁梗塞/徐脈性不整脈/アシドーシス

‐Endocrine/Electrolyte:副腎不全・粘液水腫/高K・Mg血症

‐Drug:β遮断薬/Ca拮抗薬/ジギタリス(B/C/D)

‐Oxygen:低酸素

‐Neurogenic:脊椎損傷 

・多くの場合ここまでの検索で原因は判明していると思われます。

→ここまで記載のないショックの原因には急性膵炎や絞扼性イレウスなどがあります。

 

【初期対応後の流れ】

①緊張性気胸

・状態が切迫しているは緊急脱気を以下の手順で行います。

‐可能であれば消毒を行います。

‐18G以上の太い針をシリンジに接続します。

‐第2肋間鎖骨中線上の肋骨上縁から垂直に針を刺します。

‐抵抗の消失やポンという音で胸膜を貫いたことを確認します。

‐外筒のみ送り込み、内筒を抜きます。

※胸壁が厚い場合はできるだけ長い針を用意しておきます。

・その後、第4,5肋間の中腋窩線前方から胸腔ドレナージを施行します。 

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今日の臨床サポート

 

心タンポナーデ

細胞外液投与は重要であり、初期対応のまま継続します

心嚢穿刺を行うため、速やかに専門医コンサルトを行います。

・なお、原因として大動脈解離心筋梗塞(心破裂)がないか注意します。

→いずれも基本的には外科的介入を要します。

 

③心原性ショック

・疑った場合、速やかに循環器内科にコンサルトします。

原因(ACSなど)の治療が最も優先されます。

・IVC怒張などうっ滞所見がある場合は、補液速度を適宜調整します

 

④敗血症性ショック

Hour-1 バンドル:敗血症と認識後、1時間以内に行うべき診療です。

(1) 乳酸値の測定(2mmol/L以上なら2時間後に再検)

(2) 抗菌薬開始前の血液培養採取

(3) 想定病原菌をカバーする抗菌薬投与

(4) 低血圧や乳酸値>4mmol/Lに対する30mg/kgの等張輸液負荷

(5) 急速輸液後もmBP<65mmHgなら血管収縮薬投与

初期輸液量:30ml/kgを3時間以内に投与することが原則です。

目標:mBP≧65mmHg(+乳酸値<2mmol/L)。

・ただし、輸液量が多くても心肺障害や腎障害を引き起こして予後不良となることから、初期輸液後は血圧・心拍数、乳酸値、心エコー(IVCやLVDd)などを評価して適宜投与量を調節します。

・目標が達成できない場合の血管収縮薬の第一選択はノルアドレナリンです。

-投与例ノルアドレナリン2mg+生食38mL(20倍希釈)で0.05γから開始(-0.5γ)。

-この組成で0.05γ=0.06×体重(kg) ml/hrです。

-使用量が増える場合は同希釈で倍量にするなどします。

ノルアドレナリン≧0.2γで目標達成できない場合バソプレシン併用を考慮します。

-投与例:ピトレシン®5A+生食45mL(=100単位/50mL)で0.5mL/hrから開始(-1mL/hr)。

-この組成で2単位/mLです。

-0.03単位/minを最大用量とすると1.8単位/hr≒1mL/hrが最大速度と考えられます。

-併用時のtaperingはノルアドレナリンを優先します。

バソプレシンを先にtaperingすると重篤な低血圧のリスクが生じ得ます。

バソプレシンを要する重症例ではステロイド併用も考慮します。

-投与例:ハイドロコートン®50mg 6時間ごと1日4回投与。

-予後改善のエビデンスは明らかでなく、optionになります。

-ショック発症から6時間以内の投与開始が推奨されます。

-投与期間は1週間を目安とします。

-高血糖や高Na血症などの副作用にも注意します。

Hb<7g/dLの場合赤血球輸血を併用します。