内科医キューピーのつぶやき

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不眠症の診療

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キューピーです。

 

不眠症の診療、主に病棟管理向けです。

 

まあ何となく薬を処方して終わりがちですが・・・。

 

まとめてみて、原因くらいは考えたいと思いました・・・。

 

 

目次

 

 

【定義】

日本睡眠学会による不眠症の定義を要約すると以下になります。

入眠障害、中間覚醒、熟眠障害、早朝覚醒のいずれかがある。

②週2回以上かつ1か月間以上持続している。

③不眠で苦痛、社会生活、職業的機能に障害となる。

・なお、用語の定義でも以下をおさえておきます。

-入眠障害:就寝後2時間以上入眠できない。

-中間覚醒:2回以上起きるが再入眠可能である。

-早朝覚醒:いつもより2時間以上早く起きて再入眠できない。

 

【原因】

・5Pで鑑別を行うことが有名です。

-Physical(身体的):疼痛、掻痒感、発熱、呼吸困難など

-Physiologic(生理学的):騒音、光、起床時間の変化など

-Psychological(心理学的):不安、緊張

-Psychiatric(精神医学的):せん妄、うつ病、不安障害など

-Pharmacologic(薬剤):ステロイド、利尿薬、抗パーキンソン薬、IFNなど

 

【対応】

・基本的には上記で原因を鑑別し、原因の除去を図ります。

・これで改善が乏しい場合は、リスクを評価し薬剤を決定します。

・なおトラゾドンとミアンセリンは、入眠障害に対する効果は乏しいです。

・ミアンセリンやスボレキサントは定時投与が基本で、頓用では用いません。

・(特に当直帯では)副作用の少ないトラゾドンをいれておくのが無難です。

※本来は日中の眠気がない場合、積極的な薬物療法の適応とはなりません。

 

①せん妄リスクや呼吸器・筋疾患がある場合

・⑴→⑶の順に作用時間が長くなります。

・眠気が残る場合は、より短時間のものに切りかえ、減量します。

 

トラゾドンレスリン®︎)錠 25mg 1回2錠 1日1回 就寝前

・不眠時は頓用で50mgずつ追加投与、一晩で最大150mgまで使用できます。

うつ状態への保険適用があり、アメリカでは最もよく使用されます。

・鎮静効果があり、特に熟眠障害に有効です。

・前述の通り、入眠作用は弱いです。

 

⑵スボレキサント(ベルソムラ®︎)錠 15mg 1回1錠 1日1回 就寝前

・せん妄の誘発や筋弛緩作用がほぼなく、安全性は比較的高いです。

・しかし効果は弱く、基本的に頓用では用いません(追加投与しない)。

・CYP3A阻害作用の強いクラリスロマイシン、ボリコナゾールなどとの併用は禁忌です。

 

⑶ミアンセリンテトラミド®︎)錠 10mg 1回1錠 1日1回 夕食後

・無効の場合翌日より漸増し、最大30mg(1日1回)投与とします。

・鎮静作用があります。

・効果発現に2時間ほどかかり、半日ほど効果持続します。このため、頓用には不向きとされます。

前立腺肥大症や起立性低血圧がある場合は避けます。併用禁忌薬はMAO阻害薬のみです。

※糖尿病があり内服可能時に選択肢となる抗せん妄薬の1つでもあります。

 

②せん妄リスクや呼吸器・筋疾患がない場合

・以下の⑴⑵のいずれかを使用します。

・効果不十分時は①の薬剤との併用を検討します。

 

ブロチゾラムレンドルミン®︎)錠 0.25mg 1回1錠 1日1回 就寝前

・不眠時は1時間後に追加内服、一晩で0.5mgまで使用可能です。

・催眠作用は15−30分で発現し、5−6時間ほど効果が持続します。

・早朝投与の際は持ち越しに注意します。

・禁忌:閉塞隅角緑内障、重症筋無力症、COPD

・一部のHIV治療薬とも併用禁忌です。

 

ゾルピデムマイスリー®︎)錠 5mg 1回1−2錠 1日1回 就寝前

・一晩で10mgまで使用可能です。

ブロチゾラムより持続時間が短く、3時間ほどです。

・そのため早朝にも使用可能ですが、早朝覚醒には不向きです。

・禁忌:閉塞隅角緑内障、重症筋無力症、COPD、肝不全。

 

【参考文献】