内科医キューピーのつぶやき

医学部首席になれた勉強法や医学情報を発信したりします。

高血圧の診断と治療

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●この記事は2021/1/5に内容更新しました。

 

キューピーです。

 

高血圧はありふれた生活習慣病です。

 

決して軽視できず、重い疾患のリスクにもなるためしっかりコントロールします。 

 

※この記事の内容が原因で生じたいかなる不利益にも責任は負いかねます。

 

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目次

 

 

【参考文献】

 

【高血圧の基準(JSH2019ガイドライン)】

確定診断:診察室血圧≧140/90mmHgで家庭血圧≧135/85mmHg。

※家庭血圧が測定できない場合は診察室血圧のみで確定診断とできます。

白衣高血圧:診察室血圧≧140/90mmHgで家庭血圧<135/85mmHg。

※白衣高血圧は、治療の必要がありません。

仮面高血圧:診察室血圧<140/90mmHgで家庭血圧≧135/85mmHg。

・収縮期/拡張期については、"かつ" "または" のどちらでもOKです。

24時間自由行動下血圧測定(ABPM)における高血圧

-24時間平均≧130/80mmHg

-昼間平均≧135/85mmHg

-夜間平均≧120/70mmHg

 

●コラム:non-dipperやriserなどについて

・ABPMにより、日内の血圧変動にも特徴があることが分かっています。

・具体的には以下のように分類されます。

-dipper(正常):夜間は日中より10-20%血圧が低下する。

-non-dipper:夜間に血圧が低下しない。

-riser:夜間に血圧が上昇する。

-extreme-dipper:夜間は日中より20%以上血圧が低下する。

non-dipperとriserは心血管死のリスクが高いとされます。

extreme-dipperは脳梗塞認知症のリスクが高いとされます。

 

【目標血圧(JSH2019ガイドライン)】

①診察室血圧<130/80mmHg、家庭血圧<125/75mmHg

・75歳未満の成人

・脳血管障害患者(両側頸動脈狭窄や脳主幹動脈閉塞なし)

・冠動脈疾患患者

・CKD患者(蛋白尿陽性(=随時尿で0.15g/gCr以上))

・糖尿病患者

・抗血栓薬内服中

 

②診察室血圧<140/90mmHg、家庭血圧<135/85mmHg

・75歳以上(併存症の目標が①の場合、忍容性があれば①を目標とする)

・脳血管障害患者(両側頸動脈狭窄や脳主幹動脈閉塞あり、または未評価)

・CKD患者(蛋白尿陰性)

 

【治療方針】

・以下に示すフローチャートに従います。

・現在は正常高値(120-129/<80mmHg)ですら生活指導が必要とされます。

・直ちに薬物療法を要するのは、高リスクの高血圧症例です。

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高血圧治療ガイドライン・エッセンス | | 循環器病の治療に関するガイドライン・エッセンス | 循環器最新情報 | 日本心臓財団の活動 | 公益財団法人 日本心臓財団

より画像引用

 

【生活指導】

①減塩

6g/日未満を目標とします。

・しかし最近は過度の減塩が心血管リスクを上昇させる可能性が指摘されています。

※ただし、未だに適正量は明らかではありません。

・特に後期高齢者では減塩食による食欲低下→低栄養の方がリスクが高い可能性もあるため、症例に応じて方針を検討する必要があります。

 

②食事指導

・減塩の他には、以下のようなポイントを指導します。

-野菜や果物の積極的摂取(K制限が必要なCKD患者では推奨しない)。

-飽和脂肪酸コレステロールの摂取を控える。

-多価不飽和脂肪酸(DHAIPAなど)や低脂肪乳製品の積極的摂取。

 

③減量

BMI<25を目標にカロリーコントロールを行います。

・体重1kgあたり血圧1mmHg程度の低下が見込めます。

 

④運動

30分/日または180分/週以上の有酸素運動が推奨されています。

・最大酸素摂取量の50%程度、ややきついと感じる程度の強度を目標にします。

 

⑤節酒

エタノール換算で男性は20-30ml/日、女性は10-20ml/日以下におさえます。

男性における上限の目安

-日本酒:1合 -ビール中瓶:1本

-焼酎:半合弱 -ワイン:グラス2杯弱

-ウイスキー・ブランデー:ダブル1杯

 

⑥禁煙

・高血圧の有無に関わらず推奨されます。

 

【降圧薬の基本事項】

・第1選択薬のCa拮抗薬ACE阻害薬/ARBサイアザイド系利尿薬から開始します。

・上記にβ遮断薬を加えたものが、主要降圧薬とされます。

・原則として長時間作用型のものを選びます。

・単剤で目標の血圧が達成できない場合、単剤のまま用量を増やすよりも、同量のまま別の作用機序の降圧薬を追加することが推奨されています。

サイアザイド系利尿薬は特に併用において、心血管イベントを抑制するため、3剤目までには併用することが推奨されています。

・類似の作用機序となるため、ACE阻害薬とARBの併用は推奨されません

・降圧薬の多くは、効果が最大になるまで2週間-1か月程度かかります。

降圧効果の確認は2週間以上空けてから行います。

・食後に飲み忘れた場合も、思いだした段階で内服してもらうようにします。

投与開始時の用量は、以下を目安にします。

-Ⅰ度高血圧:単剤で少用量から開始。

-Ⅱ度高血圧以上:単剤の通常用量または2剤の少用量併用で開始。

 

【降圧薬の積極的適応と禁忌・慎重投与】

①Ca拮抗薬

薬剤例

-アムロジピン(アムロジン®,ノルバスク®)

-ニフェジピン(アダラート®,セパミット®)  など

※非ジヒドロピリジン系のジルチアゼム(ヘルベッサー®)も高血圧に適応があります。

積極的適応:左室肥大、狭心症、頻脈(ヘルベッサー®)

禁忌:徐脈(ヘルベッサー®)

慎重投与心不全

 

②ACE阻害薬

薬剤例

-エナラプリル(レニベース®)

-ペリンドプリル(コバシル®)

-リシノプリル(ロンゲス®)  など

積極的適応:左室肥大、左室収縮能の低下した心不全心筋梗塞後、蛋白尿や微量アルブミン量を有するCKD

禁忌:妊娠、血管神経性浮腫、アフェレーシスや血液透析患者(膜の材質による)

慎重投与:腎動脈狭窄症、高K血症

 

ARB

薬剤例

-ロサルタン(ニューロタン®)

-カンデサルタン(ブロプレス®)

-オルメサルタン(オルメテック®)  など

積極的適応:左室肥大、左室収縮能の低下した心不全心筋梗塞後、蛋白尿や微量アルブミン量を有するCKD

禁忌:妊娠

慎重投与:腎動脈狭窄症、高K血症

 

④サイアザイド系利尿薬

薬剤例

-ヒドロクロロチアジド

-トリクロルメチアジド(フルイトラン®)

-インダパミド(ナトリックス®,テナキシル®)  など

積極的適応:左室収縮能の低下した心不全

禁忌:体液中のNa、Kが明らかに減少している病態

慎重投与痛風、妊娠、耐糖能異常

 

⑤β遮断薬

薬剤例

-アテノロール(テノーミン®)

-ビソプロロール(メインテート®)

-メトプロロール(セロケン®,ロプレソール®)  など

積極的適応:左室収縮能の低下した心不全、頻脈、狭心症心筋梗塞

禁忌:喘息、高度徐脈、未治療の褐色細胞腫

慎重投与:耐糖能異常、閉塞性肺疾患、末梢性動脈疾患

 

【難治性高血圧】

定義:3種類以上の降圧薬を使用しても血圧が目標値に到達しない高血圧。

※高血圧の10−20%を占めるとされています。

原因:白衣高血圧、アドヒアランス不良、塩分摂取過剰、腎不全による体液量増加、薬剤性、二次性高血圧など。

薬剤性ステロイド、NSAIDs、経口避妊薬、三環系抗うつ薬、MAO阻害薬など。

対応:原因精査の他、難治性高血圧では原因にかかわらずスピロノラクトンの使用により血圧低下が望めます。

 

【二次性高血圧を疑う所見】

・難治性高血圧

・突然発症の高血圧

・30歳未満発症の高血圧

・65歳以上発症の拡張期高血圧

・コントロール良好だった血圧が増悪している場合

・高血圧の程度と臓器障害の程度に乖離がある場合

・誘因のない低K血症

原発性アルドステロン症の頻度が比較的多く、

-PAC(アルドステロン濃度)>120pg/mL(12ng/dL)

かつ

-アルドステロン/レニン比(ARR)=PAC/PRA>200(ng/dLでは20)

の場合は、強く疑います。