内科医キューピーのつぶやき

医学部首席になれた勉強法や医学情報を発信したりします。

心エコーの簡単なあて方

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●この記事は2020/09/07に内容更新しました。

 

キューピーです。

 

心エコーって敷居高すぎますよね。自分も自信ないです。

 

でも腹部エコーは腹部CTの方が感度特異度優れる場合が多いですが、心エコーは代替の検査法はありません。

 

心電図では心機能評価はほとんど出来ず、心エコーが実質心機能を評価できる唯一の手段でもあります。

 

しかし、特に研修医レベルで見なければいけない所見ってあんまり多くないと思います。

 

いや、非循環器内科医レベルで見なければいけない所見と言い換えていいかもしれません。

 

少なくとも救急外来で弁膜症の評価をし始める余裕はないんじゃないでしょうか。

 

というわけで、本当に最低限これだけ!と思う当て方と評価項目をまとめてみます。

 

 

目次

 

 

【参考文献】

 

 

【傍胸骨左室長軸像】


Normal 1

描出法

・患者は左側臥位、難しい場合は枕を入れてできるだけ左側を向かせます。

・第3−5肋間胸骨左縁、できるだけ胸骨の近くにプローブを当てます。

・プローブのマーカーが患者の右肩を指すように当てます。

 

描出のポイント

・肋間を1つずつずらし、最もよく見える肋間を探します。

・プローブのマーカーが右肩を指すと書きましたが個人差があり、COPD患者(心臓が縦長)なら更に立てて、肥満患者(心臓が横長)なら更に寝かせて当てる必要があります。

・左室が最も長く、左室内膜面がきれいに見えるようにします。

・M弁が画像のほぼ中央にくるようにします。

・上記でベストな場所を決定したら、呼気や吸気で最も綺麗に見えるタイミングを探り、可能ならそこで息こらえをしてもらいます。

・depth(走査深度)は15cmが基本です。

 

評価項目

左室拡張末期径(LVDd)

・拡張期の心室中隔から左室後壁内膜面までの距離を測ります。

・55mm以上は左室拡大と判断します。

 

心室中隔/左室後壁

・大雑把に10mm以上で左室肥大と考えます。

 

肉眼的EF(vEF)

・見た目でのEFの推定です。心エコーの検査記録を沢山見て感覚を養います。

・50%を超えるか超えないかが、結構重要なラインですので、ここを評価します。

※EFの低下した心不全(HFrEF)はEF<40%、軽度低下した心不全(HFmrEF)はEF40−49%が基準となるためです。

 

【傍胸骨左室短軸像】


Normal 4

描出法

・左室長軸像を描出している状態から、プローブの位置を変えずに指先だけで時計回りに90°回転させます。

・プローブのマーカーは右肩から左肩へ向くことになります。

・プローブを頭側に傾けるとA弁側の、尾側に傾けると心尖部側の像が観察できます。

 

描出のポイント

・左室が正円形にみえるようにします。

・(左室壁運動の評価を行いたいので)2つの乳頭筋が同時に描出される図を探します。

※左室が楕円形であったり、乳頭筋・腱索に左右差がある場合は、ビームが左室を斜めに切ってしまっている可能性が考えられます。

 

評価項目

壁運動

・いわゆるasynergyを評価します。

・内膜の移動がない部分や収縮期の壁厚増加がない部分を探します。

・壁運動障害があっても健常部の収縮に合わせて、内膜が引きずられる形で移動して内膜移動があるように見える場合があり、注意が必要です。

→壁厚増加の有無もチェックすることが重要です。

 

D−shape

・右室径>左室径となり、心室中隔が左室側へ圧排され、左室がDの形を示します。

・肺高血圧や右室負荷の病態を示唆します。

 

McConnel徴候

・D−shapeと併せて知っておきたい所見です。

・急性の右室負荷(PEなど)で見られる所見です。

・右室中部−基部の壁運動は低下しますが、右室心尖部は正常−過収縮となります。


Case 53

 

【心尖部四腔像】


Normal 6

 描出法

・傍胸骨像の時より患者を仰向けに近づけます。

※左側臥位ではプローブがベッドに当たってしまうため。

・可能であれば心尖拍動を確認しつつ、心尖部と予想されるところにプローブを当てます。

・プローブのマーカーは左腕を向くようにします。

(※このまま反時計回りに回転すると二腔像や三腔像を出せます。)

 

描出のポイント

・心尖部は左室で形成され、位置が動きません。

・心尖部の位置が動く場合は、ビームが心室壁を斜めに切ってしまっています。

・心尖部アプローチは傍胸骨アプローチよりも難しく、断面を探す場合はゆっくりとプローブを動かしてじっくりと良い断面を探すことが重要です。

・傍胸骨アプローチと同様に呼気や吸気で最も綺麗に見えるタイミングを探り、可能ならそこで息こらえをしてもらいます。

 

評価項目

心腔内の異常構造物

血栓や腫瘍などがないか確認します。

・左房の左上肺静脈流入部にはクマジン稜というひだ状の組織があります。これは正常の構造ですので、見間違いのないように注意します。

※クマジン稜の参考ページ

 https://matsushita-er.blogspot.com/2019/01/blog-post_11.html

 

周囲のエコーフリースペース

・心嚢液貯留を示唆する所見です。

 

【IVC】


Normal 19

描出法

・患者を仰臥位にし、腹筋の緊張をとるため膝を立てます。

・プローブを心窩部やや右側に当て、マーカーは頭側を向くようにします。

 

描出のポイント

・右房と連続していることに注意します。

・心窩部−左側に当てると大動脈を描出し、IVCと誤認することがあります。

・描出が難しい場合はプローブを90°回転させ短軸像の描出を試みます。

→この場合、正常なら楕円形で短径での径測定が推奨されています。

※CVPが上昇している場合は正円形に近づきます。

 

評価項目

IVC径

・径が最大になるように描出します。

・呼気終末に右房接合部から0.5−3cmの位置を計測します。

・20mm以上あるいは10mm以下(または虚脱が強く描出できない)は異常です。

→前者は呼吸性変動と合わせてvolume過剰、後者は血管内脱水を示唆します。

 

呼吸性変動

・50%以下だとIVC径20mm以上と合わせてvolume過剰が示唆されます。