内科医のつぶやき

医学部首席になれた勉強法や研修医にオススメの教科書を紹介したりします。

子どもの発熱

キューピーです。

 

小児みる機会少ないからあえて勉強しておきましょう企画のお時間です(笑)

 

 

小児の発熱。これはしっかりと診察できるようになっておきたいものです。

 

 

目次

 

 

【基本事項】

・発熱は、小児の来院理由で最も多いものです。

・問診の際に、周囲の流行状況を「必ず」聴取します。

・小児科領域では、川崎病、PFAPA症候群、熱中症、新生児のうつ熱を除けば基本的に感染症が原因と考えます。

・ 小児感染症のほとんどが自然治癒するウイルス性であり、医師の仕事は細菌感染症を見抜くという1点に尽きます。

・細菌感染症としては肺炎、尿路感染症、細菌性髄膜炎、中耳炎をまず念頭におきます。これに溶連菌感染症喉頭蓋炎を加えておきます。

・最も多いフォーカスは上気道です。ウイルス性が多く、ウイルス性上気道炎はアデノウイルス感染症伝染性単核球症、インフルエンザを除き72時間以内に解熱します。

→72時間以上持続する発熱は、血液検査を行い細菌感染を調べます。

 

【随伴症状と鑑別疾患】

①発熱+咽頭所見

溶連菌感染症咽頭発赤が強く、扁桃に白苔を認めます。咳嗽が目立ちません。

扁桃の白苔:他にアデノウイルス、EBV・CMV感染症を鑑別に加えます。

ヘルパンギーナ咽頭に小さな水疱があり、7−8月頃の発症が多いです。

※いずれも咽頭痛を呈しますが、幼少では咽頭痛は判明しないことが多いです。

 

②発熱+咳嗽

・上気道炎:胸部聴診で異常がなく、喘鳴もありません。

・インフルエンザ:流行期であれば鑑別に加えます。

マイコプラズマ:咳嗽が強く、4歳以上の場合鑑別に加えます。

・クラミドフィラ・ニューモニエ肺炎:咳嗽が強く、5歳以上の場合鑑別に加えます。

クループ:吸気性喘鳴を伴う場合に鑑別に加えます。

・下気道炎(気管支炎、肺炎、6か月未満なら細気管支炎):局所的なcracklesを聴取する場合に鑑別に加えます。細気管支炎の場合は、広くwheezesやrhonchiが聴取されることもあります。

気管支喘息発作:感冒に伴い生じた可能性を疑います。6か月以上であり、既に喘息と診断されていて、広くwheezesやrhonchiが聴取された場合に疑います。

・喘息性気管支炎:気管支喘息発作と所見は同じです。下気道炎後にwheezesやrhonchiが遷延するものを言います。対応は気管支喘息発作と同じなので、鑑別しなくてもよいです。

※発熱がなければ、確実に気管支喘息発作と言えるでしょう。

 

③発熱+鼻汁

・中耳炎:上記症状があれば、鼓膜を必ずみます。鼓膜が正常であっても、発熱が72時間以上続く場合は繰り返し鼓膜をみます。

 

④発熱+下痢

・ウイルス性胃腸炎:血便がない場合疑います。夏はエンテロ、冬はノロ、春はロタ、アデノは1年中と原因ウイルスに季節性があります。ワクチン接種済ならロタは否定的です。

・細菌性腸炎:血便がある場合疑います。カンピロバクター(加熱不十分の鶏肉や豚肉を食べて2−5日後)が最多でサルモネラ(加熱不十分の鶏肉や卵を食べて12−36時間後)も多いです。

 

⑤発熱+嘔吐

・ウイルス性胃腸炎:下記を必ず否定します。下痢がないと可能性は下がります。

・尿路感染症:乳幼児の場合、発熱と嘔吐が主訴であることが多いです。

・細菌性髄膜炎:意識レベル低下やけいれん、大泉門膨隆を伴う場合に疑います。小児科専門医への相談が必須です。

・アセトン血性嘔吐症:発熱→脱水→アセトン血性嘔吐症。発熱事態の原因はアセスメントする必要があります。

 

⑥発熱+発疹

・鑑別疾患:溶連菌(猩紅熱、多形滲出性紅斑)、手足口病、麻疹、風疹、伝染性単核球症、多形滲出性紅斑、水痘など。

・確認すべきこと:咽頭や口腔所見で少しでも鑑別を絞ります。また、頭皮も必ず観察します。頭皮に水疱があれば間違いなく水痘です。

・その他:新生児ではTSS様発疹症(黄ブ菌)、単純ヘルペスウイルス感染症を鑑別に加え、必ず専門医へ相談します。また、解熱後の発疹は突発性発疹やウイルス性中毒疹を鑑別に加えます。

※ウイルス性中毒疹:説明がつかない場合の診断名となりますが、頻度は最多です。

 

⑦発熱+頸部腫脹

流行性耳下腺炎:おたふくかぜ。耳下腺は耳を縦半分に区切る線をイメージし、その軸の上に存在します。血清アミラーゼ高値を示します。

・反復性耳下腺炎:上記とはムンプスウイルス抗体測定で鑑別します。

・化膿性リンパ節炎:扁桃炎からの波及が多いです。

・ネコひっかき病:猫との接触があれば鑑別に加えます。

伝染性単核球症扁桃に白苔を認め、アデノウイルスと溶連菌を除外できた時に疑います。

川崎病:抗菌薬が無効の5日以上続く4歳以下の原因不明の発熱で疑います。

川崎病の主要症状

①発熱5日以上

②両側の眼球結膜充血

③口唇の紅潮、苺舌、口腔咽頭粘膜のびまん性発赤

不定形発疹

⑤手足の硬性浮腫、手掌・足底・指趾の紅斑

⑥頸部リンパ節腫脹(約65%に認めるに過ぎない)

・いずれの経過にも合わない場合は亜急性壊死性リンパ節炎、悪性腫瘍、膠原病、PFAPA症候群を鑑別に挙げ、小児科専門医に相談します。

 

⑧発熱+けいれん

・熱性けいれん:通常38℃以上です。熱源を考えます。

 

【重症と認識する目安】

・以下を1つでも認めたら重症と考えます。

①皮膚色:蒼白、まだら、灰色

②活動性:何となく元気がない(not  doing  well)

③呼吸:多呼吸、陥没呼吸、SpO2 91%以下

④脱水:ツルゴール低下、CRT延長、口腔粘膜の乾燥

⑤その他:大泉門の膨隆または陥凹

 

●多呼吸の基準

-乳児:53以上

-幼児(1−3歳):37以上

-就学前小児(4−6歳):28以上

-学童:25以上

 

●脱水の評価

・新生児,乳児:母子手帳で体重確認、哺乳量チェック(吸い付き具合や量)

※体重kg×100ml以上飲めていれば脱水にはならないとされます。

・オムツしている児:尿量低下を問診

 

【検査を行う目安】

①胸部X線

・発熱+呼気性喘鳴、crackles、wheezes、rhonchiを認める場合

気管支喘息や喘息性気管支炎の疑いが強い場合は必要ありません。

・発熱が72時間以上続く場合

・重症と認識した場合

・CRP4以上でフォーカス不明の場合

・3か月未満の場合(潜在性肺炎の可能性)

 

②血液検査

・胸部X線で肺炎像を認める場合

・発熱が72時間以上続く場合

・重症と認識した場合

・3か月未満の場合

※項目:血算、生化学、血液ガス、血液培養

※初期輸液:脱水が顕著でなければ20ml/kgを目安に2時間かけて投与

 

③尿検査・尿培養

・3か月未満の場合(カテーテル尿)

・CRP4以上でフォーカス不明の場合

・重症と認識したが、呼吸器感染は考えにくい場合

・尿路感染既往,恥骨上部の圧痛,下痢を伴わない嘔吐,腰背部圧迫で嫌がるなどの場合

 

④便培養・便潜血

・消化器症状+CRP4以上の場合

・消化器症状+1−5日前に加熱不十分な鶏肉,豚肉,卵を食べた場合

 

⑤髄液検査

・新生児の場合(うつ熱を除く)

※うつ熱:活気良好、哺乳良好、薄着にして30分以内に体温正常化の場合疑います。

・2か月未満で重症と認識した場合

 

⑥迅速検査

・アデノ、インフルエンザ、溶連菌、RS、ヒトメタニューモ、ロタ、ノロで可能です。

・RSウイルスは1歳未満or入院症例orパリビズマブ注射中の児に、ヒトメタニューモウイルスは6歳未満かつ肺炎が疑わしい症例に、ノロウイルスは3歳未満の症例に限り保険適用があるので注意します。

 

LAMPや抗体検査

・4歳以上で咳嗽が強く肺炎像がある場合→マイコプラズマLAMP

・5歳以上で咳嗽が強く肺炎像があり、マイコプラズマ陰性の場合→クラミドフィラ・ニューモニエ抗体

※残血清を利用するとよいです。

扁桃に白苔があり迅速検査でアデノと溶連菌が陰性の場合→EBV・CMV抗体

伝染性単核球症を疑うためです。

 

⑧検査なしで診断できる疾患

手足口病ヘルパンギーナ,水痘は検査なしで診断します。

流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)も検査なしで診断することが一般的ですが、繰り返す場合(D/D 反復性耳下腺炎)や耳下腺かリンパ節か分からない場合(D/D 化膿性リンパ節炎)はそれぞれムンプスウイルス抗体、血清アミラーゼを検査します。

 

感染症以外の発熱】

・ワクチンの副反応:多くは接種後2日以内に、MRワクチンでは接種後7−10日で出現します。24時間以内に解熱します。

※24時間以内に解熱しない場合は、尿路感染症の可能性が高いとされます。

川崎病:発熱が5日以上続く場合に鑑別に加えます。

・PFAPA症候群:白苔を伴う扁桃炎を毎月繰り返す場合に疑います。

熱中症:夏の晴天時で疑います。なお体温上昇は危険なサインなので、意識清明でなければ、必ず小児科専門医に相談します。

 

アセトアミノフェンの使用法】

・他に特異的治療法がなければ、アセトアミノフェンによる対症療法を行います。

・用量:1回10−15mg/kg。1回500mgを超えないようにします。

・剤形:坐剤、散剤、錠剤がありますが、保護者の意見を聞いて決めます。

・効果:体温を1.2−1.4℃下げます。咽頭痛など鎮痛効果もあります。熱性けいれんの予防効果もあると考えられています。

※解熱効果を認めないこともしばしばで、それが重症感染症を示唆するわけではありません。

・おもちゃで遊ぶ、テレビを見る、よく寝るなど全身状態がよければ、解熱薬を使用する必要はありません。

 

【帰宅の基準】

・重症の基準を満たさない場合

・輸液や吸入などで重症を脱した場合(ただし翌日必ず再診)

・生後3か月以上でCRP4未満の場合

※帰宅させる場合でも1日半経っても解熱が得られない場合は再診を指示します。

※3か月未満の発熱は、帰さない、少なくとも小児科専門医へ相談するのが無難でしょう。

 

【参考文献】