キューピーです。
日本のCOVID−19症例治療で最も活躍していると言っても過言ではない、国立国際医療研究センターがアメリカ国立衛生研究所(NIH)と共同で治験を行うと発表しました。
現在のところ、COVID−19治療の候補薬には以下のような薬剤があります。
・抗HIV薬のロピナビル−リトナビル(商品名:カレトラ)
・抗インフルエンザ薬のファビピラビル(アビガン)
・吸入ステロイド薬のシクレソニド(オルベスコ)
・蛋白分解酵素阻害薬のナファモスタット(フサン)やカモスタット(フオイパン)
・抗ウイルス薬のremdesivir(国内未承認薬)
このうち、ロピナビル−リトナビルについては以下の記事で効果が否定された論文を紹介しました。
もちろん1つの論文で否定されたから臨床的に無効だとはまだまだ言えないところが、医学の難しいところですが・・・。
今回行うことが決定したremdesivirの治験の概要を見ていきましょう。
目次
【remdesivirとは何か】
・元々、2019年のエボラ出血熱流行時に使用された薬です。
・現在では新型コロナウイルスを含めた1本鎖RNAウイルスに対して抗ウイルス活性を示すと考えられています。
・RNAポリメラーゼというRNA複製のための分子を標的とし、ウイルスRNA産生量を減らすことで効果を示すと考えられています。
【治験の概要】
・他施設共同のランダム化二重盲検試験です。
・アダプティブCOVID−19治療試験(ACTT)と呼ばれています。
・アダプティブを勉強不足で知らなかったのですが、別の治療法が有効であると分かった場合は対照群がその治療法となる、という意味だそうです。
・他施設共同とありますが、国際的な他施設共同試験で、アメリカや韓国なども含めた70以上の医療機関が参加し、被験者数は440例を予定しています。
※アダプティブである特性上、被験者が増える可能性はあります。
・肝機能障害(AST・ALT高値)や腎機能障害(eGFR50未満や透析中)のある患者や妊娠または授乳中の患者は試験対象から除外されます。
・被験者を2群にランダム化して分け、実薬またはプラセボの投与を受けます。実薬は1日目に200mgを静注し、以降は維持用量として100mgを1日1回静注します。
・主要評価項目は15日目時点での患者状態で、死亡、入院、入院なしなど8項目で評価されます。
【感想など】
・頼む、良い結果であってくれ、以外ないです。
・首相会見でもありましたが、国立国際医療研究センターではその他にもアビガンなど上記で挙げた治療候補薬の研究を行うそうです。
・本当に脱帽です。感染症指定医療機関でない我々の病院でも、そろそろ本格的なCOVID−19戦争が始まることを覚悟しています。
・皆さん、1人1人の意識がこれからの日本の未来を変えます。どうか、不要不急の外出はお控えくださいね。