キューピーです。
表題の内容をテーマとした研究が中国から発表されました。
Clinical Infectious Diseases誌3/12号掲載です。
話はそれますが、今回のコロナ騒動では中国の医学研究のレベルの高さが際立ちます。
発祥地であるということもあるとは思いますが、それにしてもしっかりとしたデザインでこれだけのスピード感で研究を遂行できるのは、日本でも難しいのではないかと思います。
さて、話を戻して今回の研究の内容をみていくことにしましょう。
目次
【対象と方法】
・2020/1/23から2/5までの間に新型コロナウイルスによる肺炎(論文内ではNCOVID−19と称している)19例とそうでない肺炎(NON−NCOVID−19)15例についての検討を行った。
・NON−COVID−19も含めた全ての患者に、NCOVID−19患者への曝露歴または発症前の湖北省への渡航歴があった。
・研究期間中に毎日PCR検査を施行して、感染の有無を確認した。
・NON−NCOVID−19に関しては、入院後7日間におけるPCR検査が3回連続で陰性だった場合に確定診断とした。
【結果】
・NCOVID−19はロピナビル−リトナビルで、NON−NCOVID−19は抗生物質で治療され、いずれの症例もICU入室までには至らなかった。
※全て軽症例ということです。
・感染者への曝露から発症までの期間の中央値
NCOVID−19:8日
NON−NCOVID−19:5日
・臨床症状は似ており、最も多い症状は発熱と咳であった。
発熱:NCOVID−19の78.95%、NON−NCOVID−19の93.33%に認めた。
咳:NCOVID−19の47.37%、NON−NCOVID−19の80%に認めた。
・CT所見には明確な差があった。
両側性病変:NCOVID−19の78.95%、NON−NCOVID−19の26.7%に認めた。
多発性病変・すりガラス影:NCOVID−19の89.47%、NON−NCOVID−19の6.67%に認めた。
・血液検査では肝臓・胆道系酵素の上昇がNCOVID−19で有意に多く見られた。
AST(>40):NCOVID−19の27.78%、NON−NCOVID−19の0%に認めた。
ALT(>50):NCOVID−19の27.78%、NON−NCOVID−19の0%に認めた。
γ−GT(>45):NCOVID−19の44.44%、NON−NCOVID−19の0%に認めた。
LDH(>250):NCOVID−19の31.58%、NON−NCOVID−19の0%に認めた。
α−HBDH(>182):NCOVID−19の75%、NON−NCOVID−19の20%に認めた。
※いずれも統計学的に有意な差があると判定されました。
※ASTとALTは肝機能障害で上昇、γ−GTは胆道障害や飲酒で上昇、LDHは体のどこかの細胞の破壊に伴い上昇というのが一般的な以上の示し方です。α−HBDHは聞き慣れませんが、LDHと同様に細胞傷害を反映して上昇していると思われます。
【僕の考察】
・やはり症状のみでCOVID−19と一般的な風邪・その他の肺炎を鑑別することは不可能だと思います。それが支持される結果でありました。
・なんとなく実感としてLDH上昇は使えるんじゃないかと思っていましたが、肝酵素が使えるかもというのは驚きでした。
・ただ、筆者も述べていましたが、対象患者が少ないので、もっと大規模な研究でこういったことを確かめていくとよいのではないかと思いました。
以上です。
世間は自粛終わりムードになってきましたね・・・。
個人的にはまだまだリスクはあると思うので、外出の際は手洗い、持っている方はマスクで感染を予防してほしいと思います。
それでは。