内科医キューピーのつぶやき

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【COVID19】抗HIV薬は新型コロナウイルス感染症に有効か

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キューピーです。

 

いよいよ抗HIV薬のランダム化試験の結果が発表されました。

 

 

効果が期待されていた薬でしたが果たしてどうだったのでしょうか。

 

これについて結果とともに色々と考えていきたいと思います。

 

 

目次

 

 

【対象者と方法】

・成人の入院患者のうち、SaO2がroom airで94%以下、またはP/F比が300mmHg未満の人で、人数は199人であった。

※専門的で一般の方には分かりにくいと思いますが、肺でのガス交換があまり思わしくない状態の人を対象にしたということです。

・この患者群をランダムに2群にわけ、片方(99人)には対症療法に加えてロピナビル-リトナビル(商品名カレトラ®︎)の投与を行い、もう片方(100人)は対症療法のみとした。

・ロピナビル-リトナビル(各400mg-100mg配合)は1日2回、14日間の投与とした。

・主要な評価項目は、割り付け時点から臨床的改善または退院までの期間のいずれか早い方で、これについてロピナビル-リトナビルが有意に早く臨床的改善または退院まで持っていけるかが注目された。

 

 

【結果】

・リトナビル-ロピナビル投与群と対照群では、残念ながら臨床的改善までの期間に有意な差は見られなかった。

・28日後時点での死亡率も検討されたが、こちらについても統計学的には有意な差がみられなかった。

※修正ITT解析(modified intention-to-treat analysis)という解析法において、臨床的改善までの期間の中央値が1日だけ早くなることが示唆された。

・リトナビル-ロピナビル投与群の方で、より多くの消化器症状がみられた。

※恐らく副作用による症状でしょう。

・リトナビル-ロピナビル投与群では13.8%が有害事象(≒副作用)のため、途中で投与を中止した。

 

 

【僕の意見】

※いつも通り、ここからは個人の意見なので、一歩引いた視点でお読みください。

・意見というか、率直に残念な結果になってしまったなあと思います。

・抗HIV薬は国内でも、国立国際医療センターでの使用例が報告されていたり、有効性に期待がもたれていましたからね。

・現在のところ、やはり治療は対症療法のみです。特に重症例では気管挿管を行い、人工呼吸による管理を必要とします。

・人工呼吸管理を行えば、回復する症例も多いです。熊本の看護師さんもこれでかなり回復したようですね。

・イタリアで起きている現状が少しずつ明らかになっていますが、大きな問題はこの人工呼吸器がリソースとして足りなくなることです。

・イタリアでの死者が増えている裏にはこの問題が大きく影響しています。

・とすると、人工呼吸管理まで至らないように、重症度を下げてくれるワクチンや治療薬の発見は急務と思われます。

・まだ有効性が期待されている薬剤はいくつかあります。これらについても早急に今回と同規模の試験が行われることを願います。

※現状、日本ではリソース不足はおきていません。ただ、実感としてクルーズ船騒動のあたりで当院でもCOVID-19用の部屋不足の危機などを感じましたので、決して他人事ではないと思います。

 

 

最後はイタリアについての考察も少し入りましたが、以上になります。

 

まだまだコロナの影響は続くと思われますが、予防を怠らず、前向きな気持ちで頑張りましょう。

 

それでは。