内科医キューピーのつぶやき

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【COVIDー19】家族内で新型コロナウイルス感染症が発生した「家族クラスター」の経過から、色々考察してみた

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キューピーです。

 

またLancet誌(2月15日号)からの報告です。

 

 

家族内で新型コロナウイルス感染が発生した際の実際の経過が報告されています。

 

実際の患者像を想像するうえで有用だと思いましたので、共有したいと思います。

 

 

目次

 

 

【家族の概要】

・中国国内在住の7人家族。

・2019/12/29-2020/1/4の間に6人が武漢に旅行した。

・2020/1/10から追跡を開始した。

・最終的に6人に感染が確認され、1人は武漢へ旅行していないメンバーであった。

・家族の持病と検査結果については以下の通り。

※家族内の立場:年齢、持病、PCR結果、胸部CT所見の有無

 

①母親:65歳、高血圧・治療済みの良性腫瘍PCR陽性、胸部CT陽性

②父親:66歳、高血圧、PCR陽性、胸部CT陽性

③娘:37歳、持病なし、PCR陰性、胸部CT陽性

④義理の息子:36歳、慢性副鼻腔炎PCR陽性、胸部CT陽性

⑤孫(男):10歳、持病なし、PCR陽性、胸部CT陽性

⑥孫(女):7歳、持病不明、PCR陰性、胸部CT陰性

⑦患者④の母親(旅行歴なし):63歳、糖尿病、PCR陽性、胸部CT陽性

 

 

【詳細な経過・情報】

・患者①ー④は武漢到着後、3ー6日して発熱、上気道または下気道症状、下痢を示した。

※上気道または下気道症状:咳、痰、鼻詰まり、鼻水、喉の痛み、呼吸困難など。

・患者⑤は無症状であった。

・患者⑥のみ、PCRも胸部CTも陰性であった。

※患者⑥のみ、新型コロナウイルス感染症への感染がなかったということになる。

・患者③はPCR陰性であったが、胸部CT所見(多発性のすりガラス影)や家族内の感染状況から、新型コロナウイルス感染症とみなされた。

・60歳以上の患者では、より全身症状が強く、検査所見として胸部CTでの広範なすりガラス様病変、採血ではリンパ球減少、血小板減少、CRP上昇、LDH上昇を示す傾向にあった。

感染症例の6例は、全員が入院し、対症療法を施行した。報告時点である1月20日時点で全員安定した状態であった。

 

 

【結果から感染の実態が想像できる】

・どう思いましたか?僕は以下のようなことを考えました。

-やはり小児など若年者は軽症例や感染しない例が多いと考えられる。

ーご高齢の方は、やはり自覚症状や検査所見上、重症感がある。

ー若年者の中には感染に気付かずに社会生活を送っている人が一定数いる可能性がある。

ーそういった方々が、無意識のうちの感染を拡大させる恐れがある。

・こんなところでしょうか。1つの家族だけでは、厳密なことは言えないのですが、あくまで自分の感想としてこんなことを思いました。

 

 

PCR検査は限界がある、胸部CTの方が見逃しが少ない?】

・患者③はPCR陰性でしたが、症状や胸部CT所見から、新型コロナウイルス感染症とされました。

・しばしば言われていますが、PCR検査については「感度」がそこまで高くありません。

・感度とは、検査などの特性を議論する時に用いる尺度で、「感度が高い検査ほど偽陰性が少ない=陰性だった時にその病気を否定できる検査」ということが言えます。

・つまり、感度のそこまで高くないPCR検査は、陰性だったとしても感染を否定はできないのです。

※現にクルーズ船客で、PCR陰性で解放された方がその後発症しています。そういったイメージを持っていただければと思います。

・この症例③では、胸部CT所見はコロナらしいと言えましたが、実はPCRよりも胸部CTの方が感度が高い、という論文も出ています。

・したがって、COVIDー19否定のためには胸部CTの方が有効!なのですが、現実はそんな簡単ではありません。

・長くなるので多くは語りませんが、CT撮影ごとにCT室を消毒しなければならないとなると、緊急で検査が必要な方がCTを利用できなくなる可能性があり、まさしく医療崩壊が起きます。それ以外にも、そもそも開業医にはCTがない、など色々な問題点があります。

・結局のところ、検査の中ではPCRが一番マシといった印象です。ただし、上記のように万能ではないことは一般の方も知っていていいのかな、と思います。

 

 

【一斉休校は功を奏すか?】

・あくまで、この論文だけ読んでの感想なので、エビデンスレベルも何もないですが、一斉休校は効果を示す可能性があります。

・つまり、学生のような若年層が無症状でありながら感染を起こしている可能性があり、そういった方々が感染を広めている可能性があるからです。

・もちろん、疫学的な知見を僕は全く持ち合わせていないので、休校だけでなく大学や会社も休みにしないと意味がないのでは?と聞かれても、そうかもしれないですねとしか答えられません(笑)

・ただ、多少は効果があると思います。少なくとも、休校によって1人以上は死亡者を減らせるのではないでしょうか。もちろん、岩田先生が色々なところで述べているように科学的な根拠は何もないですが(笑)

 

 

さて、色々と考えを書きましたがみなさんはどう感じましたか?

 

実際の症例をみておくと、何となく想像がしやすいかもしれません。

 

まとめ記事にも書きました通り、若年者は怖がる必要のないウイルスですが、80歳以上の高齢者にとっては致命的です(まとめ記事もみてくださいね)。

 

pkun.hatenablog.com

 

コロナに関して色々な人が色々な意見を述べています。本当の正解はないのでしょう。

 

まさに前例のない事態に直面していることは確かです。

 

できるだけ冷静に、経過を見守る必要があると思っています。

 

みなさん、できるだけ予防に励んでくださいね。

 

それでは。