キューピーです。
COVID−19の基本情報は以下にまとめています。
興味深い論文が発表されました。
武漢での重症例と投与薬剤についての論文です。
最も権威のある医学雑誌の1つであるLancet誌、2月24日号オンライン版掲載です。
論文は、2019年12月下旬−2020年1月の武漢の市中病院のICU入室患者52例を対象としています。
ICUは集中治療室で、人工呼吸管理が必要となる患者さんなど重症な方が治療を受ける場所です。
目次
【重症例の内訳】
・男性35例、女性17例でした。
・平均年齢は59.7歳でした。
・慢性疾患を有する患者は40%(21例)でした。
・98%に当たる51例は発熱がありました。
【死亡率】
・28日時点での死亡率は61.5%にあたる32例でした。
・ICU入室から死亡までの中央値は7日でした。
【死亡者の特徴】
・死亡者の生存者と比較した特徴は以下の通りです。
-高齢者が多い
-ARDSを発症する確率が高い(死亡者は81%vs生存者は45%)
-機械的な呼吸管理(≒人工呼吸)となる可能性が高い
※なお、重症例全体の71%(37例)が人工呼吸器を必要としました。
★ARDSとはなにか
・巷ではサイトカインストームなどと言われますが、非専門的な記事の場合、このARDSのことを言っているのではないかと推察します。
・acute respiratory distress syndromeの略で、急性呼吸窮迫症候群と訳されます。
・肺への直接的あるいは間接的な傷害により惹起される血管透過性亢進による肺水腫です。
・ARDSそのものによる死亡率は40−50%程度とされています。
※なに言ってるか分かりませんよね(笑)。僕は集中治療の専門ではないですが、時間があるときにARDSの記事を書いてみようと思います。
※1つ知っておいてもらいたいのが、ARDSはCOVID−19以外の病気でもみられる病態です。通常の肺炎でも時々経験します。死亡率はやはり高いです・・・。
【投与された抗ウイルス薬】
・全体の44%に当たる23例に抗ウイルス薬が投与されました。
・内訳は以下です。
-オセルタミビル(商品名タミフル、抗インフルエンザ薬):18例
-ガンシクロビル(商品名デノシン、抗サイトメガロウイルス薬):14例
-ロピナビル(抗HIV薬):7例
※抗ウイルス薬の効果については、今後さらなる検討を要すると思われます。
重症例の死亡率は61.5%と高いと言わざるを得ません・・・。
抗ウイルス薬の更なる検討が進むことに期待されます。
みなさん、できる限りの予防策をとり、重症化を防ぐためできるだけ休息をとりましょう。
それでは。